『アイランド』"Island"
--完全にネタバレ--
設定が大変興味深いので、描かれていないことまでいろいろ考えて、想像をふくらませてしまった。自分の臓器が必要になった時の保険として莫大な料金を払いクローンを作って育てておく。実におもしろい設定だ。
何百億ドルというお金を払える人たちだから、それぞれに何かしら特異な才能を持っているはず。そのDNAを受け継いだ個性的なクローンを大量に、大過なく、正しく禁欲的な生活で"飼って"おけるはずがない。たとえ「アイランド」という夢を与え、外が汚染されているという恐怖を与えたとしても難しい話だろう。しかし、体は大人であっても、純粋培養されて生まれ、まだ数年しか生きていない人たちの精神は実に純粋だ。
…というところには引き込まれ、魅せられた。しかし、この映画、アクションものなのだ。いやぁそこまではやらないだろう。え!…あそこをどうやって生き延びてきたんだ。なんで彼はまだ普通に歩けるんだ……の連続。
この映画、ニューヨークのタイムズスクエア近くの映画館で見たのだが、観客の反応が良いので楽しみが倍増した。私が、「まさかそれはないだろう」と思うと、同じように思っている観客がちゃんとそういう笑い声を上げてくれるのだ。手に汗握りつつ、夢あり、恋あり、冒険あり、そこまでやるか、まさかぁというところも、スカッと楽しませてもらえた。これは反応の良い観客と一緒に大スクリーンで見る映画としては最高だ。
少ししか出てこないスティーブ・ブシェミの存在感はすばらしかった。教育を受けないために何も知らないクローンが「神って?」と問うのに答えて、「こうあったらいいなあと胸の奥底から願った時、かならずそれを無視するやつのことさ」と答えたセリフがクスッと笑えた。
| 固定リンク
| コメント (3)
| トラックバック (2)
最近のコメント