2006/06/06

『ダ・ヴィンチ・コードの謎』"Cracking the Da Vinci Code"


トンデモ本のたぐいのビデオではある。でも、おもしろいことはおもしろい。だいたい話している人の雰囲気が怪しくて面白い。それから、『ダ・ヴィンチ・コード』に出てくるロスリン礼拝堂がおもしろい、あんなに変わった彫刻がたくさんあるんだ。もっと見せて欲しかったなあ。行ってみたくなった。

イギリスの教会を見て回っていた時、説明が書かれている本が売られていることがあって、読んでみると、石工が自分たちの顔をそこここに潜ませているといった図が書かれていたのを思い出す。そういうことがありの世界だから、作者の自己主張としてのコードがあるのも不思議ではない。また、異端はそうでもしなければ自己主張できなかったという歴史的背景もある。

ヨハネのポーズのことなど知らないことも多く、『岩窟の聖母マリア』についての説明は面白かった。また、『ダ・ヴィンチ・コード』にも出てくるマグダラのマリアについての説と絡めて、黒人の聖女の話なども興味深かった。

しかし、内容は薄くて残念だった。もっと、トンデモ本ではない角度から見せてくれる異端のコードの話はないのだろうか。死海文書を扱ったものなどもあれば見てみたいと思った。

*本、『ダヴィンチ・コード』を読んでの感想はこちら。


2004年/監督:ジェフ・ビッチ/脚本:サイモン・コックス/サイモン・コックス/ダン・ブラウン/マーク・オクスブロウ/リン・ピクネット

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2006/03/28

『モディリアーニ 真実の愛』"Modigliani"



有名な画家を描いた映画は、何かひとつ共感できるところがあると、それだけで納得し感動してしまう面があるようだ。モディリアーニの肖像画から抜け出てきたような風情のジャンヌがしゃべっているだけで、画面に吸い込まれるように見入ってしまう。美しい。本当にそれだけをぼーっと見ているだけで感動してしまう。

なぜ2人がそんなに惹かれあったのかきちんとは描かれていないのだが、犬のエピソードや、結婚届けを出すところのおばさんとのやり取りなどを見ていると、わかったような気になってくる。モディリアニの幼い頃の不遇と、時流に乗れない苦悩はどうなっていたのかという点もそう深くは描かれていないが、それでいいような気がしてしまう。ピカソとの愛憎混じったような交流、他にも有名な画家達とのいい感じの友情。それが素敵な感じはするのだが、今ひとつどう素敵なのか踏み込んでいない。でも、頭の中に「あの絵を描いた○○」というのがあるから、思いは映画を離れてどんどん広がり、深まる。

フェルメールを描いた「真珠の耳飾りの少女」を観たのに続いての、絵画モノの鑑賞だった。「真珠の…」のほうが、まだ、こちらよりは丁寧に描かれている。でも、最後に絵が出てきた時に、「あ、ちょっと違う」と思ってしまった。今はわかる。顔そのものの作りの違いが気になったのではない。スカーレット・ヨハンソンの演技が追い付いていないのか、バックグラウンドの描かれ方が違っていたからなのか。似ていないというよりは、違う表情だと思ってしまった。その点、「モディリアーニ」のほうは、道で激しくモディリアーニと喧嘩し、トイレを磨き、そして優しく彼を包むエルザ・ジルベルシタイン演じるジャンヌ、まさにその人だった。

「モンパルナスの灯」というのもモディリアーニのことを描いた映画らしい。観てみたい。

2004年/監督:ミック・デイヴィス/アンディ・ガルシア「オーシャンズ11」/エルザ・ジルベルスタイン
*「 」内は見たことのある作品

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2006/03/10

『真珠の耳飾りの少女』"Girl With a Pearl Earring"


「絵画に詳しくない私が見てもおもしろく感じるので、詳しい人が見ればさらに楽しめると思う。

随所に、絵画そのものといった構図や、見たことがある絵に似た構図が出てくる。はっと息を呑むような、光の差し込み方がきれいな場面がいくつもあった。名画がふっと動き出したような、そんな感覚で何度も映画の画面に引き込まれた。

また、思った通りの色を出すには高価な染料が必要で、さまざまな自然の原料を使っていたということがわかり、きれいな色を練るだけでもグリートは楽しかっただろうということが想像できた。

フェルメールの絵に感じられる静かな雰囲気が映画全体に漂っている。子だくさんの家自体には、日常の音が溢れているのに、働く人たちには生き生きとした穏やかさがあった。字も読めない下働きのグリート(スカーレット・ヨハンソン)が絵画を理解し、フェルメール(コリン・ファース)がその理解に心が引かれていく様子が静かに描かれている。

初めて見た絵解きモノだったが、おもしろく感じた。『ダ・ヴィンチ・コード』が上映がますます楽しみになってきた。

2004年/監督:ピーター・ウェーバー/スカーレット・ヨハンソン「アイランド」「ロスト・イン・トランスレーション」「理由」/コリン・ファース「ラブ・アクチュアリー」「ブリジット・ジョーンズの日記」「恋におちたシェイクスピア」「イングリッシュ・ペイシェント」/アラキナ・マン「アザーズ
*「 」内は見たことのある作品

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