お目当ての映画はまだ上映されていなかった。じゃあ、何を見よう。そこで、「怖い映画は映画館では見ない」という信念を曲げて、見ることになってしまったのがこの映画。ところが、それが良かった。目を覆うような場面はあまりないのに怖い。演技が怖い。雰囲気が怖い。ニューヨークのハイソな家も、田舎の風情のある家も素敵で怖い。何よりも、事前の知識ゼロだったおかげで、最後の最後まで楽しめた。
ネタバレするようなことは書きませんが、それでも、未見のかたは以下の文章は読まずに映画館にいらっしゃることをお薦めします。
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エミリーは両親の年齢から察するに、遅く生まれた子。人一倍可愛がられて育っていたことが推察される。ところが、母親が突然自殺し、エミリーの顔からは表情が消え、変調を来す。父は、ニューヨークの豪邸から、夏以外は閑散としている田舎の家に移り住むことにする。娘の心の安定に専念することにしたのだ。
引っ越ししたすぐあとから、エミリーにはチャーリーという友達が見えるようになる。心理学者の父親らしく、子どもとの対話は慎重に言葉を選び、心理学的に分析はしながらもチャーリーの存在を受け入れ、冷静に子どもと接していく。しかし、おかしなことが次々と起こり、ついには悲惨なことが…。
怪しげな人ばかりいるので、さまざまなジャンルのさまざまなストーリー展開を想像してしまった。いくつも映画ができそうなくらい。そして、チャーリーの正体が明かされ、私はびっくりした。ふうむ、そう来たかと思いもしたのだが、腑に落ちない点も…。そして、最後の最後に見せられた映像を見て、しばらく考え、納得した。
あの子にも名前はあるはずだ。なんという子なんだろう。映されていない映像が次々と脳裏に浮かんできた。
[2005/5/9追記]
この文章を書いたあと、ブログのトラックバックをたどって、いろいろな方の文章を読ませていただきました。読んだ中で、一番納得できて、一番気分がすっきりしたのがここです。映画をご覧になったかたは、ぜひ、つっきーさんの『ハイド・アンド・シーク』の文章をお読みになってみてください。
私は「部分的にはすでに…」(←ネタバレしないようにぼかしています)という見方をしていたのですが、つっきーさんの意見寄りに修正します。
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