『理想の結婚』"An Ideal Husband"
☆軽く、洒落ていて、的を射た台詞が小気味よく飛び出す。
まるでシェークスピア劇を見ているような展開。
とんでもない偶然が重なり、観客は「違う!後ろ、後ろ、ちゃんと見て!」とヤジを飛ばしたくなるような局面にヤキモキする。あっちで誤解を生みこっちで誤解を生む展開だが、人物像がはっきりしているので理解しやすい。似てはいるけれど、シェークスピアより、感情移入しやすいと思って見ていたところで出てきた。劇中劇のカーテンコールでオスカー・ワイルドが紹介されて、皮肉を言う。そうか、彼の作品だったのかとここで気がついた。
正しさにこだわり、理想的であろうとする紳士・淑女をおちょくってはいるが、その姿を愛してもいる人の作品。原題は「理想の結婚」ではなく「理想の夫」だ。理想の夫を求める女性も、ただ求めているだけでなく、自己主張があり自分の考えがあり、またそこが滑稽で、変に窮屈だったりする。イギリス人が好みそうな作品だと思った。
イギリス英語がよくわかる人と一緒に見ていたら、アーサーとメイベルの会話に笑いこけていた。もちろん訳語でもおもしろいことはわかるが、そこまで軽妙で洒落た会話なのかと、うらやましく思った。
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