『テルマ&ルイーズ』"Thelema & Luise
最初は私の大っ嫌いな展開だった。馬鹿な女友達テルマのせいで、ルイーズはどんどん窮地に陥っていく。世間知らずで、考えが浅く、自分の考えも持たない軽い女。そんな友達との旅行なんて…。
しかし、見ているうちに、そうだったんだ、アメリカは女性が本当にこんなふうに虐げられていたんだと思い出す。レディファーストととか言われながらも、社会でも家庭でも、女は馬鹿で美しければ良いと扱われ、飾り物でしかなかった歴史。
その歴史的呪縛から逃れて、輝きを増していく2人を見ていると、嫌いなタイプの展開なのに、だんだんと気分がスカッとしてくる。
ちょい役で出ているブラッド・ピット。人の良さそうで、素敵な感じの青年。はまり役だ。テルマが自信を持ち、自分の足で歩き出すきっかけとなる重要な役割を持つ。そしてハーヴェイ・カイテルの渋い良さ。
単純な展開と言えばそうなのだけれど、テルマの変化の中に、アメリカの女性が自分を知っていく歴史的背景がにじみ出てくるように描かれていて、この映画の訴えたいところが最後のシーンと共に心に残った。
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