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2008/09/04

『ボーン・アルティメイタム』"The Bourne Ultimatum"

☆冒頭からぐんぐんと引き込まれていく。

警備カメラに映らないようにして、一般人である新聞記者を守りながら、コンタクトを取っていくところが、頭脳も肉体も最高レベル。悪い人ではないようなのに、なぜ政府や警察に追われているのか、観客も主人公のボーンもわからない。この設定は一作目同様だが、前作を見ていなくても、問題なく楽しめる。

行ったことのある、モロッコのタンジールが舞台だったので、太陽にあふれ、カラッとしたあの土地を思い出した。世界中の電話に携帯、すべてを検索して、キーワードが使われたらすぐにフォーカスして、追跡できるなんて、非現実的だが、どこか可能な感じがして、数カ国にまたがる追跡が新鮮に感じられた。

2007年/監督:ポール・グリーングラス「ユナイテッド93」/マット・デイモン「シリアナ」「ディパーテッド」「ボーン・アウデンティティー」「オシャンズ11」「リプリー」「プライベート・ライアン」「グッド・ウィル・ハンティング」「青春の輝き」//ジュリア・スタイルズ「モナリザ・スマイル」

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2008/09/02

『母をたずねて1800マイル』"La Fille de Keltoum"

☆呪術の力が研ぎ澄まされ、生き続けているような土地で…。

毎日、ロバを引いて水汲みに行くことに過酷な労働と時間を割かれる土地。そんな砂漠の、低木の陰にアスパラしか取れないような地にも、文明を乗せたバスや鉄道や乗用車が通り過ぎていく。ときおり、ポテトチップスのかけらが入った袋や、化粧品の宣伝を載せた雑誌といった文明のかけらを落としながら。

そこへ、スイスのジュネーブに住む20歳の女性がやってくる。自分を捨てた母の名前「ケルトゥム」と村の場所だけを頼りに。しかし、彼女の祖父と未婚の叔母が住むその家に母はいなかった。毎週帰ってくると言われた金曜日、バス停に母は現れなかった。そして、唐突に、彼女とケルトゥムの妹である叔母との、母を訪ねる旅が始まる。

ケルトゥムの妹は、魔術を使えると言われている。少しおかしなところがあると思われているが、彼女の病を癒す力は、村人達に重宝がられている。水さえ得がたいギリギリの生存状況の中で残された、本能的なものが、彼女の中でむき出しになり、研ぎ澄まされて残っているように感じられる。不思議な魅力がある。

道中、言葉を話せない(人と異なった面がある)と同時に、井戸を掘る能力(皆が必要とする生命の源である水を得る力)がある人と出会い。その男性が彼女に恋心を抱くというのも象徴的だ。2人にはこの土地で生きていくのに必要な力が宿っているという共通点がある。

生きるだけでも過酷な地に、さらに女性として生きることの困難さを見せられていく旅になるが、最後にはすばらしい感動が待っている。

2001年/監督:メディ・カレフ「それでも生きる子供たちへ」/シリア・マルキ/パヤ・ペラール

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