☆歌は下手、グロテスクさも不必要と言いたくなるのに、引き込まれる。
ミュージカルだからといって明るいものばかりではなく、「ジキルとハイド」も連続殺人が起きるし、気味の悪さは、「スウィニートッド」にまさるとも劣らない。
でも、舞台が正視できるのは、舞台ならではの抽象性があるから。でもこの映画、ここまで血をあふれさせるとは。あのブチューという音も気持ち悪すぎる。ダイエット効果絶大だ。気持ち悪いという以外に、どういう効果があるというのだろう。パイ肉原料製造器に化したような歌の場面では、あっけにとられて拍手をしてしまいそうになる。
きっと、ティム・バートンとジョニー・デップは、こういうポカンと見ている観客の顔を想像しながら楽しんで作ったのだろうなと想像し、ニヤッとしてしまう。いかん、これでは。術中にはまってしまうところだった。
ミセス・ラベットとのデュエットで、スウィニートッドへの愛を語り、気づいてほしいと歌う旋律とは全く別に、勝手にスウィニートッドが歌う復讐の念に燃える主旋律。この掛け合いはミュージカルならではのもの。両方の気持ちが観客にはしっかり伝わるのに、2人の旋律はからみあうだけで、2人の間では気持ちは全然伝わっていない。ミュージカルの醍醐味だ。ぜひ舞台を見てみたいと思う。映画のような大写しのグロテスクさなしに。
それに、ここは、歌専門、ミュージカル専門の人に演じてもらわないと。ジョニー・デップの声は伸びがないから、盛り上がらない。…でも、でもいいんです。ジョニー・デップが、歌が今ひとつなのを意識してか、声が出ないからか、オドオドとしたともとられそうに歌うところが、悪人になりきれないスウィニートッドを表しているようで…。いいんです。ジョニー・デップ、大好きだから。これを作った遊び心に感染して、観客も遊園地のダークなアトラクションのように楽しめるから。
う~ん、支離滅裂だ。こういう世界大好きだから、どんどん作ってね。
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