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2008/05/12

『ザ・スナイパー』"The Contract"

☆スナイパーというよりは、きっちり仕事をこなすきまじめなサラリーマンのような殺し屋。

プロの殺し屋といっても、世紀の大陰謀、世界を覆すテロ、政権打倒の暗殺といったものではない。原題のContractは契約という意味。彼らはスナイパーというより、きっちり仕事をこなす有能できまじめなサラリーマンのような殺し屋。FBIはかっこつけているだけのエリート風の嫌みな集団。

それに対して、地元の警察官は、コーヒーがまずいのなんのと馬鹿にされたり、どこかスローモーだったりするけれど、地元密着型でいい感じ。そういえば、アメリカに住んでいた時、地元の警官は地元の中学校に問題児がいて困っていた時、社会科見学についてきてくれていたなあなどと思い出した。

殺し屋達がなんのためらいもなくどんどん人を殺していくので、なんだかすごいのだけれど、描かれているのは、スナイパーではなくて、それ以外の普通の人々のほう。変なちぐはぐさがあるのになんとなく良いなあと感じられるのは、演じている人達が味を感じさせるからかもしれない。

2006年/監督:ブルース・ベレスフォード「ダブル・ジョパディ」「ドライビングMissデイジー」/ジョン・キューザック「トライアル・陪審評決」「マルコヴィッチの穴」/モーガン・フリーマン「ブルース・オールマイティ」「ディープ・インパクト」「アミスタッド」「セブン」「ショーシャンクの空に」「ドライビングMissデイジー」

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2008/05/09

『フェアリーテイル』"Fairytale a True Story"

☆コティングリー妖精事件という、イギリスでは有名な妖精の写真をめぐる話を元にした映画。

このパロディ版とも言える絵本を持っている。書名は"Lady Cottington's Pressed Fairy Book" 。レディ・コッティングトンというのはコティングリーをもじっていた名前。冒頭に写真がある。妖精事件の頃と同じ服装の可愛らしい少女が、無垢な笑顔でノートブックを開いて庭に立っているセピア色の写真だ。この少女が、ノートブックをパタンと閉じて、飛んでくる妖精達を「押し花」ならぬ「押し妖精」にしてこの絵本を作ったというのだ。グロテスクとも言える絵本なのだが、それがなんとも美しい。妖精を愛する人に眉をひそめられそうだが、そのリアルにつぶれた妖精の透明感が、なぜか不思議に美しい。それで、元の話を知りたくて、この映画を見た。

こんな絵本が好きなのにと言われるかもしれないが、私は妖精がいそうな場所が好きだ。イギリスを旅していると、妖精がいてもおかしくないと思える場所に遭遇することがある。空気が違う。そういう村、そういう場所、そういうものを信じる人が好きだ。

この映画を見ていると、少女達、少女達の屋根裏部屋、ドールハウス、絵、そして庭と小川の流れる自然、それらが全部集まって妖精そのものだと思えてくる。

1997年イギリス/監督:チャールズ・スタリッジ/不ロレンス・ハース/エリザベス・アール/ピーター・オトゥール・ハーヴェイ・カイテル

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2008/05/08

『バベル』"Babel"

☆題名との関係がわかったようでわからない。

旧約聖書のバベルは、人間の傲慢さに対して神の天罰が下り、言語がバラバラになって通じなくなった話だ。この映画に出てくる人々は、言語が通じているのに心が通じないところで苦しんでいる。言語が通じなくて苦しんでいるのは、手話を使う少女だけだ。それに映画全編を通じて、神に近づこうという傲慢さはどの人物にも感じられない。むしろ、普通の人間が考えの至らなさによって困った状況に陥るという形で罰せられていく話だ。その状況には言語による意思疎通の難しさとの関連は薄い。

言葉が通じているのに、心が通じない。それも彼らは通じさせようと努力しているのに、間違いが起きる。それを見ていると、意思疎通の阻害は、彼らのせいではなく、遠い先祖が犯した罪によって理不尽にも現代人が被っている「罰」なのかもしれないという気がしてくる。しかし、それでも、すべてのエピソードに登場する親たちは、子供に心を通わせたいと切望している。

望み続け、あきらめなければ、最後には少しだけ心が通じるというかすかな光が見える。それが古代の人間が神から与えた試練と希望。そして、現代の人間にもそれが科せられているとでもいうのだろうか。最後の場面は、我々が気づかないうちにまたバベルの塔を築いてしまったことを暗示しているとでもいうのだろうか。

2006年/監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ「21グラム」/ブラッド・ピット「ハサミを持って突っ走る」「Mr.&Mrs.スミス」「オーシャンズ11」「ジョー・ブラックをよろしく」「セブン・イヤーズ・イン・チベット」「セブン」「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」「リバー・ランズ・スルー・イット」/ケイト・ブランシェット「あるスキャンダルの覚え書き」「コーヒー&シガレッツ」「ヴェロニカ・ゲリン」「シャーロット・グレイ」「シッピング・ニュース」「ギフト」「理想の結婚」「リプリー」「オスカーとルシンダ」/ガエル・ガルシア・ベルナル/役所広司「それでもボクはやっていない」「SAYURI」「THE有頂天ホテル」「笑の大学」「Shall We ダンス?」/菊地凛子

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2008/05/05

『ボルベール<帰郷>』"Volver"

☆バラバラな色が集まって生み出す不思議な色彩感覚に目を奪われた。

こういう話は好き。
家庭の中で勝手だったり、働かない男に虐待されたりしても、日銭を稼ぎ、生活していく女。おまけに、幽霊が年老いた姉の世話をしていたなんて話もうれしくて、ゾクゾクする。

レストランでそんなことするのはちょっと…と引いたりする場面もあり、受け継がれていくにはあまりにも過酷な環境と運命と思ったりする面もあるのだが、女系が血縁で結びつき、さらには隣人とも強く結びつき、たくましく生きていく力の魅力のほうが勝り、いいなあと思ってしまう。

また、色彩が美しい。複数の女性が出てくる時、皆がバラバラな色の服を着ていて、その1人1人の服の中にもいろいろな色が使われていたりもするのに、画面全体で見ると調和が取れていて美しい。よく計算されている。ハリウッド映画などで、ヒロインだけ目立つ美しい色の服を身にまとい、その他は引き立てる色だけ、背景もヒロインに合う少ない色だけでまとめたような映画をよく見ていたので、このバラエティに富んだ色彩感覚には目を奪われた。

2006年スペイン/監督:ペドロ・アルモドヴァル「あなたになら言える秘密のこと」「死ぬまでにしたい10のこと」/ペネロペ・クルス「ノエル-星降る夜の奇跡」「ゴシカ」「バニラ・スカイ」/ローラ・ドゥエニャス「海を飛ぶ夢」

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『デジャヴ』"Deja Vu"

☆デジャヴってこんな感じかなと思えてくる映像

フェリーに乗る人々、楽器を演奏するバンド、船員達の、平和に流れる日常的な時間。その映像が流れるのをもう一度見た時、「あぁ、これは見た」と思う。肩車される子供、子供の数を確認する先生、波間に落ちる人形。ストーリーと関係ない細かい場面でも、人は頭のどこかに記憶しているものなのだ……と思ったのだが……。違う。これは何気ない場面に見えるが、ストーリー性がありそうに見える、記憶に残りやすい映像が提示されているからなのだと気づいた。自然なようでいて計算されている映像。

ストーリーは、緻密でありながら逞しいというデンゼル・ワシントンにぴったりの捜査官と、一目惚れも当然という美しい女性の話。爆発までの限られた時間の中、過去に遡って見える映像に重ねながら、実際に走る車をよけながらという、今までにないカーチェイスもありで、アクションいっぱい、息をつく間もない展開が随所にある。小気味よい展開の映画だった。

2006年/監督:トニー・スコット「マイ・ボディガード」/デンゼル・ワシントン「クライシス・オブ・アメリカ」「マイ・ボディガード」「ジョンQ-最後の決断」「トレーニング・デイ」「悪魔を憐れむ歌」「マルコムX」「遠い夜明け」

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