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2008/05/08

『バベル』"Babel"

☆題名との関係がわかったようでわからない。

旧約聖書のバベルは、人間の傲慢さに対して神の天罰が下り、言語がバラバラになって通じなくなった話だ。この映画に出てくる人々は、言語が通じているのに心が通じないところで苦しんでいる。言語が通じなくて苦しんでいるのは、手話を使う少女だけだ。それに映画全編を通じて、神に近づこうという傲慢さはどの人物にも感じられない。むしろ、普通の人間が考えの至らなさによって困った状況に陥るという形で罰せられていく話だ。その状況には言語による意思疎通の難しさとの関連は薄い。

言葉が通じているのに、心が通じない。それも彼らは通じさせようと努力しているのに、間違いが起きる。それを見ていると、意思疎通の阻害は、彼らのせいではなく、遠い先祖が犯した罪によって理不尽にも現代人が被っている「罰」なのかもしれないという気がしてくる。しかし、それでも、すべてのエピソードに登場する親たちは、子供に心を通わせたいと切望している。

望み続け、あきらめなければ、最後には少しだけ心が通じるというかすかな光が見える。それが古代の人間が神から与えた試練と希望。そして、現代の人間にもそれが科せられているとでもいうのだろうか。最後の場面は、我々が気づかないうちにまたバベルの塔を築いてしまったことを暗示しているとでもいうのだろうか。

2006年/監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ「21グラム」/ブラッド・ピット「ハサミを持って突っ走る」「Mr.&Mrs.スミス」「オーシャンズ11」「ジョー・ブラックをよろしく」「セブン・イヤーズ・イン・チベット」「セブン」「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」「リバー・ランズ・スルー・イット」/ケイト・ブランシェット「あるスキャンダルの覚え書き」「コーヒー&シガレッツ」「ヴェロニカ・ゲリン」「シャーロット・グレイ」「シッピング・ニュース」「ギフト」「理想の結婚」「リプリー」「オスカーとルシンダ」/ガエル・ガルシア・ベルナル/役所広司「それでもボクはやっていない」「SAYURI」「THE有頂天ホテル」「笑の大学」「Shall We ダンス?」/菊地凛子

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