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2008/03/07

『シェルタリング・スカイ』"The Sheltering Sky"

☆北アフリカのアラブ世界が美しい。

この映画が作られる以前のモロッコを、両親に連れられて旅したことがある。その時の、サハラ砂漠の日の出を見た感動が蘇った。砂ではない荒れ地の「砂漠」をずっとずっと行った先に見たさらさらの砂の砂漠、信じられない美しさだった。初めて見るオアシス、椰子の木が砂漠の中にドーンと出現する様にも、砂漠の民にも、すべてに心を揺さぶられた。

この映画はその感動を、旅した時と同じように伝えてくれる。実際、困難な旅で時間を掛けて撮影することになったクルーの気持ちがにじみ出ているのだと思う。当時は、少し奥地に入ると、この映画のように、お湯どころか水もあまり出ず、食事も粗末な、「高級ホテル」しかない場所がずっと続いた。ジョン・マルコビッチの演技もすばらしいし、デブラ・ウインガーも美しい。そして音楽がすばらしい、と思ったら、坂本龍一だった。

しかし、原作者は、アラブ世界の砂漠の美しさ以外に伝えたかったことがあるのだろうか。ラブストーリー? 特典映像のコメンタリーを見た。制作者は、原作ではキットが1人旅になって砂漠の民にレイプされることになっていたが、ここに出てくるトゥアレグ族は女性を尊敬し丁重に扱う文化を持っているので、原作とは違う話にしたと言っている。

私は砂漠の民の若き指導者が、キットを見つけて、まるで宝物を見つけたように喜び、天真爛漫に彼女を求める姿を見て、このような「愛」は、傷ついたキットの心の一面を癒すことができるだろうと感じた。だから、これがレイプの場面だったと聞いただけで、原作者の意図を理解しようとする気持ちがすっかり消え失せてしまった。ここにそんな場面を入れて話を進めようとするような発想しか持てない夫だったら、妻の気持ちも冷めるだろうなどと、考えはあらぬ方向に行ってしまう。

しかし、撮影クルーの感性のおかげで、映画自体は、イスラム世界の北アフリカと砂漠を美しく描き出している。

話の前後に原作者のポール・ボウルズを登場させたのは、彼に話の落としどころを語らせて、責任を取らせようとしたからではないかなどと邪推してしまった。

1990年/監督:ベルナルド・ベルトルッチ/デブラ・ウィンガー/ジョン・マルコビッチ「マルコビッチの穴」「二十日鼠と人間」「危険な関係」/キャンベル・スコット

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