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2008/03/17

『ボビー』"Bobby"

☆アメリカの青春時代の終焉

アメリカ合衆国の青春時代がジョン・F・ケネディの時代だとすれば、ロバート・F・ケネディ(=ボビー)の死はその時代の終焉。人が自分の青春時代を懐かしく振り返るように、アメリカはその時代を思い出す。だから、これだけの豪華キャストが集まり、脇役であっても喜んで出演し、それぞれの思いを込めてこの映画を作ったのだと思う。

青春は理想を実現可能なものとして感じることができる時代。映画は、当時のボビーの映像をそのまま使い、各地を遊説しながら人々が普通に暮らし、働くアンバサダーホテルに近づいてくる様子を映す。彼の演説は本当にすばらしい。心に響く。

アンバサダーホテルに集う大勢の普通の人々のそれぞれの小さなストーリーがオムニバスタッチで描かれる。違う環境、違う境遇、違う階層に生きる人々だが、どこかで同じ時代の影響を受けている。バックグラウンドミュージックのように流れるボビーの存在とその理想に燃える姿が、人々の心にほんの少しずつ明るさを植え付けてくれる。そして、それぞれの日常が少しずつ明るくなっていく。政治が人々の心に灯をつけることができた時代だ。

若いアメリカの理想がそこにあった。ベトナム戦争の過ちという影に悩みながらも、自分がアメリカ人であることを誇りに思える瞬間を得ることが可能な時代だった。

青春を通り過ぎ、大人になり、物の価値が単純には決まらないことに気づき始めたアメリカ人は、それでもなお、良き事を求めて、この映画を見るのだろう。

2006年/監督:エミリオ・エステベス/アンソニー・ホプキンス「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」「白いカラス」「9デイズ」「アトランティスのこころ」「ハンニバル」「ハーモニーベイの夜明け」「ジョー・ブラックをよろしく」「アミスタッド」「日の名残」「羊たちの沈黙」「チャーリング・クロス街84番地」/デミ・ムーア「G.I.ジェーン」「ア・フュー・グッドメン」/シャロン・ストーン「ハリウッド・ミューズ」/エミリオ・エステベス/ウィリアム・H・メイシー/ローレンス・フィッシュバーン

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