『イブラヒムおじさんとコーランの花たち』"Monsieur Ibrahim Et Les Fleurs Du Coran"
☆ユダヤ人の少年とモスリムの老人との心が温まる話
明るいうちから娼婦が道にずらっと立っている通りを見下ろす窓際。そこに住むユダヤ人の少年。彼は父親と心を通わすことができない。母親はとっくの昔に家を出ている。
渇きをもって生きている少年に、娼婦達や食料品店を営むイブラヒムおじさんは温かく接する。
水と油のはずの、ユダヤ人とモスリムのおじさんとの心の触れ合いは実に自然だ。モスリムと言っても、イスラム教の中でも主流ではない神秘的な回旋舞踏を行うスーフィーを信じるイブラヒムおじさんは、戒律にもコーランにも強くは縛られず自然に接することができる描き方がされている。だから、自然に、自分の中に流れているものを自然に次の世代に伝えていき、そこには親子のような交流が生まれる。
受け継がれていくもの。故郷とはどういうものなのかを、温かく感じることができた。
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