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2007/08/10

『ユナイテッド93』"United 93"

☆「ボーリング・フォー・コロンバイン」を見ることにした時も感じたためらいと同種のものをここでも感じた。

普通のパニック映画と同じような感覚で見てしまうことがあってはならない。しかし、それは観客に委ねられる部分より、制作者の姿勢の問題が大きい。大丈夫かなと。

そういう目で見ると、ひどい傷を負って、早い段階で死んでいく人の描写は見るに忍びなかった。これはパニック映画ではない。実在のその人物は映画の早い段階で死んでいく「脇役」ではなく、その人の人生の「主役」として存在していたのだから。本人や遺族は「この事件を忘れないでほしい」と思いながらも、「見てほしい」とは思わないのではなかろうか。

しかし、飛行機外の描写は興味深かった。あれだけの過密状態で飛行機が飛び交っているとは。ことばとしては聞いていたが、ああいう形で見せられると、そしてその中で、不特定の複数機がハイジャックされたと言われても…と、それだけで呆然としてしまう。本筋と関係ないこの部分は興味深かった。しかし、だからこそ、アメリカ空軍は本当に追い付くことさえできなかったのか、非常事態に政府となかなか連絡が取れなかった理由は?そこを調査して描かなかったことが評価できない。「再現」に重点を置いたからなのだろう。

見る前に抱いた予感は少し当たってしまった。あの悲惨な事件を数年しかたっていないのに「再現」以上のものにならなかったことに違和感を持ってしまった。「ボーリング・フォー・コロンバイン」を見終わった時はそんなふうには感じなかったのに。

その後、「ランド・オブ・プレンティ」を見て感心した。「ランド~」では、この事件を「再現」ではなく「内省」で描いていた。

2006年/監督:ポール・グリーングラス

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