『チャーリング・クロス街84番地』"84 Charing Cross Road"
☆手元に置いておきたくなるような良い作品。
イギリスに住んでいた頃、魔女の絵本を集めていた。いや、日本にいる頃から集めていたのだが、魔女が主役になっている絵本はそれほど出ていなかった。それがイギリスでは、探せば結構見つかるという程度にあったので、すっかりハマってしまった。
この映画に出てくるような本屋で、ゆっくり探していき、レジに持って行く。時には「魔女の本が好きなの? それならこんなのもあるの、とっても素敵なの」と、本当に素敵な本を、私が気がつかなかった棚から出してきてくれることもあった。別に魔女の本でなくても良かったのだが、本屋が好きだったので、どこかに出かけても必ず、ホテルから歩いて行ける場所の本屋に入ってかなりの時間を過ごしたものだった。
そんな思い出があるからかもしれないが、この映画はゾクゾクするほど好きだ。イギリスの本が手に入らないニューヨークに住む作家の女性が、イギリスの書店の店員と文通を楽しみながら本を購入していく。何年も何年も……。同じ英語を話すのに、食卓の風景は全然違う。暮らしも違う。でも、2人のまわりの人たちもこの交流を楽しみに生きている。
自分が読みたい本を何年にもわたって把握し、探してくれる人。普通とは違った形だが、ここまでの理解者というのは滅多に得られるものではない。いいなあと思う。
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