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2007/02/20

『プレッジ』"The Pledge"

☆2度見ると納得できる。でも2度見ないとわからない映画ってどうなんだろう。

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ネタバレした感想を書いています。
未見の方はご注意ください
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1度目の鑑賞は腑に落ちない部分が多く、ストレスがたまっただけだったが、2度目はテーマがよくわかりおもしろく見られた。

映画には約束事のようなものがある。例えば、特定の車のナンバープレートを大写しにすればそれは意味があるということ。パレードの男の子、それも目撃者だった男の子をスローモーションで長く映せば、それは何かにつながるはず。それが何にもつながらないって「あり」なのかな。

そういう雑音に惑わされずに2度目を見た時、今度はこの映画の主題が迫ってきた。ジェリー(ジャック・ニコルソン)は有能でみんなに愛されていた刑事だったが、刑事生活の最後の10年くらいはどこかが壊れ始めていた。しかし有能さは残っていて、結局、その「嗅覚」が正しかったことが観客にはわかるのだが…。

いい加減で凡庸な他の警官達は、彼が壊れ始めていることに気づいても、温かく接し続けている。しかし「壊れている」と思っているため彼の嗅覚の正しさには気づかない。これはきっと、退職していく誰もが多かれ少なかれ感じている悲哀やもどかしさと共通点があるだろう。老いて、昔ほど有能ではなくなっているかもしれないが、自分には見えているものがある。若者達は優しくいたわるように自分に接するが、理解しようとはしない。老いても自分には明確に見えているものがあるのに…。叫びたいが叫んでも理解できない未熟で無能な若者達。この悲痛な叫びが2度目の鑑賞では伝わってきたし、よく描けていると思った。

退職後の彼は、幸運にも手に入れることができそうだった暖かい家庭生活まで壊してしまう。それが、テレビ画面に映る釣り番組で、一瞬だけ出てくる「生のエサが良い」という話が契機となっているのだから…。こんなさらりとした扱いの伏線では1度目の鑑賞では見逃してしまう。ここが「やってはいけない領域」へと足を踏み入れていく境目となり、ここから最後の場面が納得できる芽が育っていくのに。

題材は面白いし、ストレスが解消されない終わり方も、2度目は納得できた。とはいえ、やはりミスリードを誘う伏線が多すぎて、テーマが見えにくくなり、真髄のところを味わうところまでいかないのが残念だったと思う。

2001年/監督:ショーン・ベン/ジャック・ニコルソン/その他よく見る人大勢

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