『オーメン』&『オーメン666』
★映像と子役が良いのは2006年版だが、1976年版も捨てがたい。
2006年版を見た。すごい映画だと思った。オカルトの走りという程度の認識で見た映画だったが、凄惨な場面は思ったより少なく、静かな場面に感じるなにものかの存在に凍り付いてしまうような映画だった。それで、続けて1976年版も見てしまった。
見終わってもわからなかったのは、悪魔の存在は真実なのか、狂気のなせる技なのか、という点。映画のセオリーに従って見ると、ギリギリで正解は「存在する」になる。しかし、現実の世界でこれを子細に見せられたとしても、それを信じることはできない。つまり、正解は「存在する」であるように見せつつも、「狂気」に収まる範囲で描かれているのだ。
この「自分は狂っているのかもしれない」という自問自答の部分を、2006年度版は言葉によって示している。1976年版はその問いかけがあまりない分、グレゴリー・ペックの年輪を感じさせる成熟した大人としての演技から感じられるようにできている。
「神の存在を信じるか」の裏返しのような問いかけをこの映画は扱っているように思えた。
両者のストーリーと場面の運びはほとんど変わらない。もちろん2006年版のほうが新しい分、映像がきれいだ。しかし、1976年版もすごい。特にマントヒヒの場面は迫力がある。これが実写なのだからすごい、というより、実写ならではの迫力なのだろう。また教会に近づく場面の引き込む力の強さも負けてはいない。
一方、ダミアンのかわいさと気味悪さがミックスした怖さは2006年版のほうが際立つ。たぶん子役の演技が重視され、それにつれて子役側も演技ができるようになってきたことと、メイクの技術の進歩によるものだろう。
両方見るほどのこともないが、両者とも捨てがたい。
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コメント
こんばんは。
私にとって両者の決定的な違いは「音楽」でした。
76年版の方が当然のことながら映像的には劣るのですが、圧倒的な音楽の力がそれを補っていると思います。
投稿: starless | 2007/01/30 21:05
仰る通り、私も音楽に決定的な違いがあると思えました。本当に、きれいな音楽はきれいな中に怖さがあり、恐い音楽は当然のことながら恐怖をかき立てる。
76年版の音楽には居ても立ってもいられない怖さがありますよね。おまけにしばらくは耳について離れない。
当時と今では、映画の中での音楽の位置づけに違いでもあるのでしょうか。
投稿: ちんとん@ホームビデオシアター | 2007/01/31 20:51