『ジョー・ブラックをよろしく』"Meet Joe Black"
★3時間が心地良くあっという間に過ぎていった。
同じ年に作られている『シティ・オブ・エンジェル』を思い出した。『シティ…』の天使より『ジョー…』の死に神のほうがずっと天使らしく、『シティ…』の天使のほうが実質的に死に神に近い。どちらも、人間としての感覚を知らず、ある意味「無垢」だ。その無垢の状態から「感じる」ことの段階を一段一段登っていく。『ジョー…』の死に神はピーナッツバターから始めて、さらに上級なもの愛へと。この面からだけ見ると、どちらの映画もかなり官能的なラブストーリーだと思う。
しかし、それ以上に『ジョー…』のほうは、アンソニー・ホプキンスの演じる大富豪パリッシュの役どころが味わい深い。死を予告された人間を描いた映画はいくつかあるが、ここまで立派な態度を貫ける大人物はなかなか描かれない。普通、社長で権力もある大富豪が、それにふさわしい立派な人物として捉えられることは滅多にない。たいていは悪役だ。そこを、こうやって感動させるのだから、筋もさることながら、役者の力も大きいと思う。
父から可愛がられている娘、ウマが合わず、あまり可愛がられなかった娘、その2人の対比も無理なく描かれている。
3時間もある映画だが、それぞれの気持ちがゆっくりと伝わってくる演技と演出がとても良い。
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