『イット』"IT"
☆仲間が田舎町に集結してくるところまでは傑作
前半は『スタンド・バイ・ミー』のような幼年期の恐怖、絆をうまく描いている。もうピエロを恐怖の先入観なしで見られなくなってしまうほどだ。後半も「町」に漂う恐怖を描くところまでは恐い。しかし、最後に向かって突然、B級度が全開してしまう。
スティーブン・キングの作品の映画化は魅力的だが難しいのだろう。この作品と似て、前半が幼年時代、後半が成人してからの2部構成になっている『アトランティスのこころ』では、映画にする時、本の後半部分をバッサリ切ってしまっている。原作とは少しテーマが違ってしまうが、すばらしい完成された映画になっている。しかし、原作部分の後半で描かれた、幼年期の体験を元にそれぞれがどのような道を歩まざるを得なかったかというところについては言及されていない。この『イット』はその後半部分も映画に残した。そして、幼年時代の恐怖がどのようにそれぞれの心の奥深くに残って作用していたかが描かれる。
『イット』では、後半を入れたかった理由がわかるように描かれている。でも、『アトランティスのこころ』にはあった、大人になった自分の中にも広がる恐怖の余韻は残らない。
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