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2006/07/10

『博士の愛した数式』

☆優しい気持ちを乗せたことばの繰り返しは心地よい

こんなに素敵な映画だったとは。ここ数年、流行している「記憶モノ」制覇のために見たのだが、そんな理由は吹き飛んでしまうほど、心温まる、美しい、良い映画だった。

80分しか記憶が続かない数学の博士。10歳の息子と2人暮らしの家政婦は、博士の家に行く度に「新しい家政婦です」から始まる挨拶をする。博士は靴のサイズを聞く。そして24センチは4の階乗で潔い数字だと誉める。

同じことの繰り返しであっても、優しい気持ちの繰り返しは実に心地よい。同じことがきっかけで違う形で表れても、それは博士の純粋で優しく、知的で感受性豊かな気持ちのバリエーション。

数式の奥深さと心の奥にある優しさとがぴったり合って、細やかな深淵を覗くことができる。配役が5人ともぴったり。音楽もすばらしい。

原作のほうも読んで、数式の世界にもう少し触れてみたいと思った。
[追記] その後、原作を読んだ。映画と違っているところもあったが、映画はもとの味を損なわずに描いていると思った。

2005年/監督:小泉堯史/寺尾聰「阿弥陀堂だより」/深津絵里/斎藤隆成/吉岡秀隆/浅岡ルリ子
博士の愛した数式@映画生活

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コメント

TBありがとう。
本当に、しみじみする映画でしたね。
登場人物も少なくて、舞台にしてもいけるような感じがありました。

投稿: kimion20002000 | 2006/07/19 15:18

kimion20002000さん、コメントありがとうございます。
映画鑑賞後、私も本を読みました。本と違う設定となっている部分も、原作をそこなわず、映画としての効果を考えてなされていると思いました。また、部屋の作りや家の雰囲気など、細かい道具も効果的で原作の雰囲気をそのまま映像に移した映画なんだなあと感心しました。

投稿: ちんとん@ホームビデオシアター | 2006/07/20 17:28

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丁寧に丁寧に、書き言葉が話し言葉に、 置き換えられていく。 小説を原作にした映画作品は多くあるが、僕は、ここ数年の邦画で、これほど原作がもっている気品を大切にしながら、当の作家も感動するような、映像化に成功した例を知らない。書き言葉を、話し言葉に。それは、簡単なように見えて、そうではない。また、季節や、背景や、小道具や、つまりあらゆる舞台装置を小説家は読者にイメージ化させようと文章で工夫する。映画は、映像で、�... [続きを読む]

受信: 2006/07/14 17:56

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