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2006/07/07

『アバウト・シュミット』"About Schmidt"

☆永遠に家族の絆を持つことができないダメ人間を描いたの?

映画としてはとても良い、ジャック・ニコルソンもすごいと思う。毎回、全然違う役をまさにその通りに演じる。

シュミットの定年退職する日がやってきた。後任の若造は、表面的には礼儀正しいが、彼の作った引き継ぎ資料など見向きもせずにちゃんとやっていく。長年連れ添った妻には不満だらけで愛情も感じられない。まるで他人のよう。唯一可愛く思っていた娘、その娘が…というストーリー。

人生の残りが見渡せる年齢になって振り返り、自分の歩んできた道が、全く夢に満ちていなかったことに気づく。そのあたりはひどく共感できそうな気持ちがわいてきて吸い寄せられる。

でも、映画が伝えたいこととは別として、思ってしまう。可愛い娘がどういう配偶者を選ぶかも含めて、結局は、その人はその人相応の相手や友達を選んでその人相応の人生を歩んでしまうものだと。フォスター・ペアレント(に似た形)の「子ども」にその救いを求めても所詮、それは経済格差を利用した擬似的なものであって、実際の親子で作れなかった絆は、自分が同じである限り、こちらでだって作ることはできないんじゃないかなと。もちろん、その行い自体の意義はあるにしても(←ここは強調)

ここまで考えた時、ふと、この作品が伝えたかったのはこの部分なのかもしれないという気がしてきた。この部分をほんの少しだけ肯定的に解釈して、絆を作ることができる人ならば家族以外の人とも作ることができるのだというところに一縷の望みを残しておきたい気もするが…。

間抜けなテンポと間の悪さ。バツの悪いような気さえしてくる音楽。そんなものが散りばめられていて、そこここで笑いを誘うのに、この映画、真正面から捉えると、ものすごく救いようのない映画なのかもしれない。

2002年/監督:アレクサンダー・ペイン/ジャック・ニコルソン「恋愛小説家」「ア・フュー・グッドメン」「イーストウィックの魔女たち」「シャイニング」「カッコーの巣の上で」/キャシー・ベイツ「ウォーター・ボーイ」「輝きの海」「タイタニック」「ミザリー」/ホープ・デイビス「隣人は静かに笑う」「アトランティスのこころ」

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コメント

ちんとんさん、お邪魔します。コメント投稿がうまく行かなかったため、先に乱暴にTBだけさせていただいてしまい、失礼しました。
自分の撒いた偽善の種(おっしゃるとおり、その行いには意義はありますね)が、ちゃんと花開いてしまうオチには、苦笑するしかないですね。確かに、正面から捉えなければ、いっぺんにブラックコメディーとして納得がいく気がします。いつものことながら、ちんとんさんの記事を拝読すると膝を打ちすぎて痛いくらいです!

投稿: バウム | 2006/07/08 22:22

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『アバウト・シュミット』は、ポスターの写真の出来が あまりに素晴らしかったので( [続きを読む]

受信: 2006/07/08 05:13

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