『翼のない天使』"Wide Awake"
物事を深く考える子どもは可愛らしい。この映画の場合、可愛らしさを通り越して痛々しくさえあるのだが…。
可愛がってもらっていた祖父に死なれ、死後の祖父を心配するあまり、神の存在を疑い、信仰について悩み出す少年。苦しみは彼の年齢には深すぎる。両親も、カトリックの学校の教師達も、神父様でさえ、答えを示すことができない。しかし、まわりの大人が暖かく、真摯に向き合い、幼い子どもの悩みを見守る様子はとても良い。
NHKのこどもニュースの制作者が番組の制作意図について語ったのを聞いたことがある。「こどもニュース」はこどもだけを視聴者として想定して作っているわけではなく、こどもの疑問という形を取ることによって、抵抗なく、大人の疑問にもわかりやすく答えることを考えて作っていると。
この映画はそれに似たところがある。子どもの目を通すことによって、ナイト・シャマラーン監督は、自分の語りたかった宗教観をていねいに描き出すことができたのではないだろうか。後の作品に流れる思想が素直な形で読み取れる作品だ。
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コメント
「こどもニュース」の例を入れるところ、素直に首肯しました。
「エリート校モノ」というのに笑いましたYO。
シャマラン監督が徐々にパワーダウンしているような気がするので、
次回作はがんばってほしいです。
投稿: 多感な奴@CINEMA IN/OUT | 2006/05/06 01:17
確かに、シャマラン監督の作品、どんでん返しなんか期待していないファンとしては、次回作では自分が本当に表現したいものを作ってほしいものだとおもいます。こんな掘り出し物の作品があることを教えていただいて得した気分です。
「エリート校モノ」というジャンル、いいでしょう?(^^; 気に入った方にはぜひ使って、広めていただきたい。(^^;
投稿: ちんとん@ホームビデオシアター | 2006/05/06 20:19