『薔薇の名前』"The Name of the Rose"
中世の修道院での連続殺人事件をウィリアム修道士(ショーン・コネリー)が解いていくというストーリー。そのサスペンスとしてのおもしろさも最上級だが、さらに中世の修道院のおどろおどろしい雰囲気や、宗教界の対立の構造や異端の問題などの濃い味付けが加わる。
その上、知性とその象徴である「書物」の持つ力というテーマが底に流れている。本の力は強い。宗教心を奪うこともあれば、真実を正しく見る助けともなるのだ。見応えのある映画だったが、このあたりをもっと深く知りたくなったので、原作もぜひ読んでみたいと思った。
修道院の遺跡を見てまわったことがあるが、その時の説明で想像していた様子が、実際に大勢の人が修道士となって演じている映像を見ることができて非常に興味深かった。塔の部分についても、実際にはどういう階段があったのだろうかと思っていたのだが、納得した。
先日、話題の『ダヴィンチ・コード』を本で読んだ。サスペンスに宗教的おどろおどろしい味付けという点でこの映画と似ているが、もしかするとこちらのほうが深みがあっておもしろいかもしれないと思ってしまった。
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コメント
『薔薇の名前』は私も映画版だけ見ておりますが、
何年か前に友人は本のほうが面白いと言っておりました。
『ダヴィンチ・コード』は文庫になってすぐ読みましたが、ハマりました。
アクエリアス(水瓶座)の時代、聖なる女性の復活という意味では、
個人的にはそんなに目新しく感じませんでしたが、
筋立ての上手さに感心しました。
映画版も楽しみです。
投稿: 多感な奴@CINEMA IN/OUT | 2006/05/06 01:11
『薔薇の名前』の本は、多感な奴さんのご友人がおっしゃったように、たぶんさらに面白いのではないかと思っています。
『ダヴィンチ・コード』は、本当には、読み出したら最後、途中ではやめられない筋立ての巧さがすごいと思います。私は両親の家に用事があって寄った折、母に電話が掛かってきたほんの少しの間にそこに置いてあった『ダヴィンチ・コード』の上巻を読み始めたのが運の尽き、翌日は中巻と下巻を買いに書店に走りました。
投稿: ちんとん@ホームビデオシアター | 2006/05/06 20:09