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2006/04/11

『タッチ・ザ・サウンド』"Touch the Sound"


音を聴くことは、音に触れること。それが、エヴリンを通して伝わってくる。物と物がぶつかって、そこから音が聞こえてくるという表面的なものではなく、その下にある空間、その物体との触れ方、接触、質感、そして叩く人間の骨格、身体、内臓、さらにはそれらのまわりにある空気すべてから、その音の深みが醸し出され、振動という形で、伝わって来るものであることが、感じられるような気がしてくる。

エヴリンは聴覚障害者だ。取材の電話には、いったんそれを受けて口形をなぞる人、という仲介を経て答える。しかし、「聴覚障害者なのに」という表現は当てはまらない。たぐいまれな音楽の才能を持った音楽家が、たまたま成長の過程で聴覚を失ったことにより、聴者が気づかない音の深さ、メカニズムを感じることができるようになり、ドラマーとして新しい境地を開拓したという言い方のほうが正確だ。

エヴリンが生み出し、イヴリンが「聴く」音と、私が聴く音とが同じだろうかと、ふと思う。そして、そこにのせた気持ちを感じることが、同じ音を聴くという意味ではないかということに思い至る。

ニューヨーク、スコットランド、イギリスのケンブリッジ近郊、日本と、私にとって意味のある土地を巡っていく旅だったこともあり、格別の思い入れをもって見入ってしまった100分だった。

このところ、岩波ホール「二人日和」、銀座テアトルシネマ「ホテル・ルワンダ」と、メジャー系でない映画館の良さにはまり始めている。この作品も渋谷ユーロスペースという"通"な感じの映画館で鑑賞。

監督:トーマス・リーデルシェイマー/エブリン・グレニー/フレッド・フリス
タッチ・ザ・サウンド@映画生活

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» TOUCH THE SOUND [みやここうじの世界 : diary etc]
 こんなとらえ方・感じ方があるのかと興奮するドキュメンタリーでした。  聴覚障害のある音楽家エヴリンがギタリストのフレッド・フリス(ヘンリーカウ)や静岡県の和太鼓チームとセッションする模様と、彼女の故郷であるスコットランドで兄を訪れる様子の中で、音をどう感じ、この世界をどうとらえているかが描かれます。耳がほとんど聞こえない彼女はからだ全体を音の共振器として使い、すべてのものに宿る音をま... [続きを読む]

受信: 2006/04/28 12:21

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