『モディリアーニ 真実の愛』"Modigliani"
有名な画家を描いた映画は、何かひとつ共感できるところがあると、それだけで納得し感動してしまう面があるようだ。モディリアーニの肖像画から抜け出てきたような風情のジャンヌがしゃべっているだけで、画面に吸い込まれるように見入ってしまう。美しい。本当にそれだけをぼーっと見ているだけで感動してしまう。
なぜ2人がそんなに惹かれあったのかきちんとは描かれていないのだが、犬のエピソードや、結婚届けを出すところのおばさんとのやり取りなどを見ていると、わかったような気になってくる。モディリアニの幼い頃の不遇と、時流に乗れない苦悩はどうなっていたのかという点もそう深くは描かれていないが、それでいいような気がしてしまう。ピカソとの愛憎混じったような交流、他にも有名な画家達とのいい感じの友情。それが素敵な感じはするのだが、今ひとつどう素敵なのか踏み込んでいない。でも、頭の中に「あの絵を描いた○○」というのがあるから、思いは映画を離れてどんどん広がり、深まる。
フェルメールを描いた「真珠の耳飾りの少女」を観たのに続いての、絵画モノの鑑賞だった。「真珠の…」のほうが、まだ、こちらよりは丁寧に描かれている。でも、最後に絵が出てきた時に、「あ、ちょっと違う」と思ってしまった。今はわかる。顔そのものの作りの違いが気になったのではない。スカーレット・ヨハンソンの演技が追い付いていないのか、バックグラウンドの描かれ方が違っていたからなのか。似ていないというよりは、違う表情だと思ってしまった。その点、「モディリアーニ」のほうは、道で激しくモディリアーニと喧嘩し、トイレを磨き、そして優しく彼を包むエルザ・ジルベルシタイン演じるジャンヌ、まさにその人だった。
「モンパルナスの灯」というのもモディリアーニのことを描いた映画らしい。観てみたい。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント