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2006/03/28

『モディリアーニ 真実の愛』"Modigliani"



有名な画家を描いた映画は、何かひとつ共感できるところがあると、それだけで納得し感動してしまう面があるようだ。モディリアーニの肖像画から抜け出てきたような風情のジャンヌがしゃべっているだけで、画面に吸い込まれるように見入ってしまう。美しい。本当にそれだけをぼーっと見ているだけで感動してしまう。

なぜ2人がそんなに惹かれあったのかきちんとは描かれていないのだが、犬のエピソードや、結婚届けを出すところのおばさんとのやり取りなどを見ていると、わかったような気になってくる。モディリアニの幼い頃の不遇と、時流に乗れない苦悩はどうなっていたのかという点もそう深くは描かれていないが、それでいいような気がしてしまう。ピカソとの愛憎混じったような交流、他にも有名な画家達とのいい感じの友情。それが素敵な感じはするのだが、今ひとつどう素敵なのか踏み込んでいない。でも、頭の中に「あの絵を描いた○○」というのがあるから、思いは映画を離れてどんどん広がり、深まる。

フェルメールを描いた「真珠の耳飾りの少女」を観たのに続いての、絵画モノの鑑賞だった。「真珠の…」のほうが、まだ、こちらよりは丁寧に描かれている。でも、最後に絵が出てきた時に、「あ、ちょっと違う」と思ってしまった。今はわかる。顔そのものの作りの違いが気になったのではない。スカーレット・ヨハンソンの演技が追い付いていないのか、バックグラウンドの描かれ方が違っていたからなのか。似ていないというよりは、違う表情だと思ってしまった。その点、「モディリアーニ」のほうは、道で激しくモディリアーニと喧嘩し、トイレを磨き、そして優しく彼を包むエルザ・ジルベルシタイン演じるジャンヌ、まさにその人だった。

「モンパルナスの灯」というのもモディリアーニのことを描いた映画らしい。観てみたい。

2004年/監督:ミック・デイヴィス/アンディ・ガルシア「オーシャンズ11」/エルザ・ジルベルスタイン
*「 」内は見たことのある作品

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2006/03/20

『SAW2』


やっぱり見なければよかった。痛そうなシーンが多かった。注射針のシーンなんて、もう痛くて痛くて。前作が、緻密なストーリーに対照的な2人の描かれ方とその心を通わしていく様が素晴らしかったので続編をつい見てしまったのが間違いだった。もともと血がドバーッは苦手だから、いけないのだけれど…。

人数が多すぎて、1人1人の性格がほとんど描かれていなかったのが私の好みではない。8人とも、ただ逃げようと思っているだけで、生を軽く見てきたそれぞれの人生を振り返っているようには描かれていなかったし、考えて謎を解いて、鍵を探そうとしているようにも見えなかった。

おまけに、映画のトリックにだまされやすい私なのに、鍵の開け方も、オチもかなり予想が付いていた。オチがわかったからといって映画の出来が悪かったということにはならないけれど、やっぱりちょっとお手軽な作りだったってことじゃないかな。

ネタバレここから→鍵の番号の謎は、問題を出された時にわかったし、ビデオについては、「今はきっと部屋の隅に座っているだろう」と言った時にもしかしてと思った。刑事は何度も言われているんだから、そこにずっと座っていられなかった時点で負けだと思った。ビデオだとしたら、みんな死んで決着がついているのだろうけれど、そうなると息子はまだどちらかわからない状態でどこかにいるのかなというところまで想像していた。もしかすると、この建物の地下室にいたりしてなどと思いながら…。

↑もしかして、結構楽しんでいたことになるのかな。

[後記]あとで考えたら、全体の鍵だけでなく、1人1人に残された「死なずにすむ方法」を考えさせるところに本当の謎解きがあったのかもしれないと思った。ビデオを見て子細に検討すると鍵があるのかもしれない。でも、こういうこういう映像が苦手な私には、それはできない。やっぱり私向きの映画ではないなあと思った。

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2006/03/12

『死ぬまでにしたい10のこと』"My Life Without Me"


「初めてキスをした相手と17歳で結婚し、夫と可愛い2人の子供の4人で母親の家の庭に置いたトレーラーで暮らすアン。そのアンが、突然、余命2か月の宣告を受ける。

今までに、してこなかったこと、したかったことがある。そして、自分がいなくなってからのことも計画しておかないと…。そして、後者のほうに重きがあるからこそ、良い感動が残る。だから邦題より、原題の"My Life Without Me"(私のいない私の人生)のほうが、わかりにくくはあるが深みのある題名だ。

自分がこの世から消え去ってしまったあとの世界を想像し、創造する。そして、余命のことは誰にも告げず、ノートに書き留めたことをこなしていく。2か月後にいなくなってしまう自分は、もう他の人とは見えている景色も違うのだ。

主要な登場人物とは言えないが、トンプソン医師が好きだった。

監督:イザベル・ヘコット/サラ・ポーリー/マーク・ラファロ/レオノール・ワトリング/デボラ・ハリー/アマンダ・プラマー
*「 」内は見たことのある作品

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2006/03/10

『真珠の耳飾りの少女』"Girl With a Pearl Earring"


「絵画に詳しくない私が見てもおもしろく感じるので、詳しい人が見ればさらに楽しめると思う。

随所に、絵画そのものといった構図や、見たことがある絵に似た構図が出てくる。はっと息を呑むような、光の差し込み方がきれいな場面がいくつもあった。名画がふっと動き出したような、そんな感覚で何度も映画の画面に引き込まれた。

また、思った通りの色を出すには高価な染料が必要で、さまざまな自然の原料を使っていたということがわかり、きれいな色を練るだけでもグリートは楽しかっただろうということが想像できた。

フェルメールの絵に感じられる静かな雰囲気が映画全体に漂っている。子だくさんの家自体には、日常の音が溢れているのに、働く人たちには生き生きとした穏やかさがあった。字も読めない下働きのグリート(スカーレット・ヨハンソン)が絵画を理解し、フェルメール(コリン・ファース)がその理解に心が引かれていく様子が静かに描かれている。

初めて見た絵解きモノだったが、おもしろく感じた。『ダ・ヴィンチ・コード』が上映がますます楽しみになってきた。

2004年/監督:ピーター・ウェーバー/スカーレット・ヨハンソン「アイランド」「ロスト・イン・トランスレーション」「理由」/コリン・ファース「ラブ・アクチュアリー」「ブリジット・ジョーンズの日記」「恋におちたシェイクスピア」「イングリッシュ・ペイシェント」/アラキナ・マン「アザーズ
*「 」内は見たことのある作品

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2006/03/08

『ビハインド・ザ・サン』”Behind the Sun(英語題)""Abril Despedacado(ポルトガル語題)"


「坊や」と呼ばれるだけで、家族から名前もつけてもらっていない男の子がこの映画の語り手だ。最初の場面から、語りの深い思考に引き込まれていく。

さとうきびを砂糖にするのがこの家族の生業。「おじいちゃんの時代には奴隷がやった。今は僕らがやる」という過酷な労働。1910年のブラジル。坊やの一家は近隣の一家と憎しみ合い、何代も前から果たし合いを続けてきている。ただし、その殺し合いは「流した以上の血は流さない」「シャツの血の色が黄ばむのを待って」という掟に則っているので、すべてはじわじわと進む。

語り部の才能があったであろう「坊や」の短く、端的な状況を表すことばを聞き、静かな画面を見ていると、人間の生き方、変えられない観念のむなしさ、喜びは本当は手の届くところにあるはずなのにといったことがどっと迫ってくる。

良質の短編小説を読んだ時のような、静かな思いが心に残る。

2001年監督:ウォルター・サレス/トーニョ:ロドリゴ・サントラ「ラブ・アクチュアリー」(2004年ピープル誌に「世界で最も美しい50人」に選ばれる)/父:ホセ・デュモンチ/坊や:ラモス・ラセルダ/クララ:フラヴィア=マルコ・アントニオ/サルスチアーノ:ルイス=カルロス・ヴァスコンセロス
*「 」内はその人の作品のうち見たことのあるものの題名
ビハインド・ザ・サン@映画生活

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2006/03/06

『仕立屋の恋』"Monsieur Hire"


最初、なにがなんだかわからなかった。真っ赤なトマトの紙袋を階段で落とす女。息を切らして走らされる紳士とまわりの冷ややかな目。どういう意味?あのキスは?娼婦に対する態度は?彼は変態?女は露出趣味?フランス映画の公式や"お約束"がわからないから理解できないのか、それとも、フランス人にとっても思わせぶりな場面なのか。

おまけに、仕立屋が女性の住む窓をのぞき見する場面になる度に流れる、せつなくむなしい音楽が物憂く繰り返される。見始めたのが深夜だったこともあり、睡魔に勝てず、見続けることを断念。

翌日、最初から見直したところ、「あれはわからなくて良かったのだ」とわかった。あの繰り返し流される曲も映画のテーマにぴったりだった。ヒッチ・コックのサスペンスを思わせるような映画だ。ガラスを通して見る人の顔は、心がわかりにくいので怖い。そういうひとつひとつの映像が思わせぶりでもあり、雄弁でもある。

登場人物について思ったことを、ひと言書いてしまうだけで、これから見る人の鑑賞の楽しみを台無しにしてしまうかもしれないので、このあたりでやめておく。

ビデオの表紙の絵がどういう意味なのか気になっていたのだが、そのままの映像が出てくる。そうか、そういう表情だったのか、フランス映画だと思った。フランス映画を語るほどたくさん観たわけでもないのに…。

1989年/監督:パトリス・ルコント/仕立屋イール:ミシェル・ブラン/アリス:サンドリーヌ・ボヌール/リュック・テュイリエ/アンドレ・ウィルム
仕立て屋の恋@映画生活

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