« 『マシニスト』"The Machinist" | トップページ | 『仕立屋の恋』"Monsieur Hire" »

2006/02/28

『エクスペリメント』"Experiment Bootcamp(英語題)""3sat-Zuschauerpreis(原題ドイツ語)"


パッケージが『エス』に似ている。いや、それをさらに恐くしたような絵だったので、その連想と先入観から、不必要にハラハラしてしまった。

しかし、サイコスリラーや異常心理、極限状況モノに慣らされ、スレてしまった自分の感覚のほうがおかしいと思い直し、落ち着いて見られるようになってくると、こういう描き方もいいなあと思えてくる。

エス』と『エクスペリメント』には大きな違いがあるが、繰り返しこのテーマで描きたくなるドイツ人の思いには共通するものがあるのかもしれない。

囚人達の異常心理などという期待で見るとがっかりする。そのかわり、囚人側の様子だけでなく、実験する側の人間も含めて、それぞれの気持ちを考えながら見ているとおもしろい。喧嘩した時の2人への罰もなかなかいい。

ところで、この映画の紹介文だが、いわゆる商業サイトを見ていて驚いた。

まず、livedoorの「ぽすれん」は「極限状態に陥った人間の狂気を描いた究極のサイコホラー…」と最初からハズしている。本当に映画を見て書いたのだろうか。TSUTAYAの「DISCAS」も全く同じ文章を掲載している。

紀伊國屋書店の「Forest Plus」は「過酷な訓練で人間の攻撃性を奪う犯罪撲滅計画の歪みが引き起こす恐怖を描いたショッキング・スリラー。」と上の2つのサイトの文章を短くしたような文になっていて、「歪みが」以降、思いっきりハズしている。この文章は「楽天ICHIBA」、「DVD生活」と全く同じ文章だ。同じ文章を使おうということになっているのだろうか。

eでじ」は「極限状態の中、やがて彼らの中で何かが壊れ始めた…。」で結んであるが、「壊れた」?「違うでしょう」と思う。「net横町DVDeliver」も「DVDirect」も全く同じ文章だ。本当に最後まで見たの?という内容なのに…。これらのサイトは協定でも結んでいて、同じ文章を載せているのだろうか。

[3/2追記]その後、試しに『セルラー』の紹介文を比較してみたところ、「eデジ」「DVDeliver」「DVDirect」のグループと「Forest Plus」「楽天ICHIBA」「DVD生活」のグループは同じ文章を掲載していました。「ぽすれん」と「DISCAS」は同じではありませんでしたが…。そういうものなのかと思いました。もしかして、こういうことは常識だったのかな。

ちなみに、個人のブログには、かなりの数で「…と思って借りたのに違っていた」という記述が見られる。異常心理の悲惨さを煽るような紹介文に変な先入観を持たされて見ると、この映画の良さが全然見えなくなってしまう。罪深いことだ。

2004年/監督:アンドレアス・リンケ/マティアス・ケーベルリン/ナタリア・ヴェルナー/アーロン・ヒンデブラント

|

« 『マシニスト』"The Machinist" | トップページ | 『仕立屋の恋』"Monsieur Hire" »

コメント

TB&コメントありがとうございました。
まったくその通りですよね。過剰に期待させる紹介文で、観てみると全然違ったなんてことよくあります。でも、もし仕事でこの紹介文を書く側なら、多少オーバーに書いてしまいそうです(ー∇ー;)

投稿: okay | 2006/03/01 00:56

コメント&Tbありがとうございます。
本当に、共感です。

他のサイトから適当に同じ文章を持ってきたとしか考えられないですね、
観てもいないのに
紹介に載せる、それを真に受けてレンタルする方は参考に選ぶわけですし、
もうちょと責任持ってほしいです。
本当にただのパクリなのか?
それから、目を引くためだけのパッケージも考え物ですねー。。。

今後もよろしくお願いします★

投稿: mig | 2006/03/01 13:58

--->okayさん、コメントありがとうございます。

そうかもしれませんね。お仕事になると急に、妙に張り切りすぎて…ってなるのかな。先入観さえ持たされていなければ、良い映画だったなあ(;_;)で終わったはずなのにと思います。

--->migさん、コメントありがとうございます。

migさんのブログにある、評価の☆の下の文章がキャッチコピーにいいと思いました。ああいう文章なら、普通に期待感が持てるし、映画を観たあとも「そうだったそうだった」って満足できる。おまけに、パッケージの顔についてもちゃんと触れているし…。(笑)

投稿: ちんとん@ホームビデオシアター | 2006/03/01 20:59

TB&コメントありがとうございます^0^
視点を変えれば楽しめる映画ですね。
確かに『エス』にこだわらなければそこそこのドラマとして出来てたんですけどね。
借りる側って表紙から来る先入観って結構強くあるものですしね。
またよろしくね~^0^

投稿: KAZU | 2006/03/01 23:41

本当に表紙で、見る映画を決めることってありますからね。外国のDVDの表紙はどうなっているのか知りたくて、検索してみたのですが、よくわかりませんでした。こちらこそ、またよろしく。

投稿: ちんとん@ホームビデオシアター | 2006/03/02 19:57

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『エクスペリメント』"Experiment Bootcamp(英語題)""3sat-Zuschauerpreis(原題ドイツ語)":

» 『エクスペリメント』 [Movie Road -映画道-]
104.エクスペリメント 製作年度 2004年 製作国・地域 ドイツ 監督 アンドレアス・リンケ 脚本 シモーヌ・ヴィースト 音楽 ヨハネス・コビルケ 出演 マティアス・ケーベルリン お勧め度 政府は囚人を使ってあるプロジェクトを進行させる。プロジェク...... [続きを読む]

受信: 2006/02/28 23:39

» エクスペリメント/experiment [我想一個人映画美的女人blog]
最近やたらと"極現状況の中で"とか "想像を絶する凄い実験が"とか 「SAW」や「es」を好きな映画好きを狙ったキャッチとそれに似せたパッケージをよく見るなー。 しかも、二番煎じのマネものばかりで大抵ダメ〜。 実際、この「エクスペリメント」 このジャケだから「騙されたっ!!」と言ってる人も多いみたい。 そもそもそんな煽りには乗っちゃダメ〜!! っていっても映画が駄目なんじゃなくて、、、 先日新作DVDで借りて観たこ�... [続きを読む]

受信: 2006/03/01 01:15

« 『マシニスト』"The Machinist" | トップページ | 『仕立屋の恋』"Monsieur Hire" »