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2005/12/07

観る?観ない?『SAYURI』



バウムさんが、「観る?観ない?『SAYURI』」というおもしろい問いかけをしていらっしゃるを読んで、書いたものです。

悩みますねえ。でも、私は観ますよ。

「誤解だらけ」だとは思います。その「誤解の仕方」が、「真珠湾攻撃は卑怯な行為だ」「日本人の男はみみっちくて、姑息なやつばかりだ」のようなタイプの「誤解」だと、途中で席を立ちたくなります。また、日本女性は気だてが良いから、たとえ顔が悪くても結婚できた男は幸せ、などというコンセプトで描かれ、どういうふうに気だてが良いのかの描写もなしでステレオタイプに描かれるものにも憤りを感じます。でも、私の独断的基準で、許せる「美しき誤解」があるんです。

『ラスト・サムライ』の演出は突っ込みたいところ満載でしたが、全体を通じて見ると、武士道をよく理解していて、あのフィルターを通した先に見えるものは、現代日本人が思う「武士道」と同じかもしれないという思えました。今回の『SAYURI』には、「美しき誤解」の先に見えるものが日本人と同じというだけでなく、人間として共感できるものかもしれないという期待を抱きます。

黒澤監督の『夢』"Akira Kurosawa's Dreams"を観た時に感じた「奇妙で、あり得ない世界なのに、どこか自分が見たことのある夢とも重なるような感覚」、「自分の中に日本人が流れていることを思い出す感覚」、それらに似た感じが漂っていそうな作品だと大いに期待して、観に行くつもりです。

しばらくの間、アメリカ人は日本人に会うごとに、この話題を繰り返すだろうなあ、サービスとして。観ておかなくては…。

[追記]
…というわけで、観てきました。感想はこちら→『SAYURI

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コメント

記事をとりあげてくださって,ありがとうございます。ちんとんさんの,人間として共感できるかどうか,という観点には,映画の世界観を,まずは体験してみようという積極的で寛容な“映画好き”の姿勢が感じられて,いいなあと思います。でもワタシ,『夢』にはノれなかったもので…ちょっと心配になってきました…。

投稿: バウム | 2005/12/08 18:47

バウムさん、おもしろい問いかけと、コメントありがとうございました。

『夢』、だめでしたか。もしかして、『夢』も『ラストサムライ』もだめだったという人は、観ないほうがいいのかな。

実は、私、「絶対観ない!」で観なかった、ハリウッド系の日本をテーマとした映画が一つあって、それは『パール・ハーバー』なんです。

こんなのが公開されている時、子連れでアメリカに長期滞在してたらたまらないのではないかなあと思ってしまいました。観ていないのに、何を言うかなんですが…。

投稿: ちんとん | 2005/12/09 10:19

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