『二人日和』 ふたりびより
昔、「文化」の香りに憧れて出かけていた岩波ホールに、ひさしぶりに行ってみた。大半の観客の年齢層は私より上だ。普通の映画館ではこういうことはない。昔を思い出してみると、自分は大学生で他の観客は自分より少し上の社会人という感じだったような気がする。もしかすると、ここの人たちは、そっくりそのまま年を取っていっただけで、同じ人たちなのかもしれないなどと考えてしまった。映画の内容も、この雰囲気そのままだった。
夫は京都の古い伝統を守った神祇装束司で、保守的とも見られる夫婦の暮らしぶり。しかし、その中で、情熱的で、新しい「文化」の香りを求めていた若い頃の2人の姿が、ぽつりぽつりと語られる。ひな人形と死に装束。愛情の表し方が静かで、しかし激しい。
クライマックスの「こっちに来てはあかん。こっちに来たら戻れなくなる。」と言うところの会話がすばらしい。
でも、「やっぱり、言ってくれなきゃわかんないよ…」とつぶやいてしまう私は、この映画の観客としてまだ未熟なのか…。
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