『ティム・バートンのコープスブライド』"Tim Burton's Corpse Bride"
期待通りだった。細かいところにまで気を配った演出がすばらしかった。
「ピアノを弾くこと」ひとつ取っても、そこに意味がこめられている。ピアノを「感情を表しすぎるもの」として禁止された育ったビクトリアが、ビクターのピアノの音色に心を動かされ、結婚を決意するということにこめられた意味。
ビクトリアとは対照的に、感情を表す生き方を選び、親の教えに従わなかったがゆえに殺されてしまった不幸な花嫁のエミリー。彼女はピアノの音色に自分の気持ちをのせて弾くことができる。ビクターと連弾する場面を見ると、生者と死者が結ばれてもいいのではないかと思えてくる。
生きている国と、死んでいる国の、意表を突いた色の使い分け。普通、この色の使い方は逆ではないかと思うが、見ているうちにだんだんわかってくる。
最後は、『ゾンビ』になるかと思ったが、ティム・バートン的展開になって素晴らしかった。
随所に『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』との、類似点、相似点が見られる。自信満々でどんどん間違った方向に突き進んでいってしまったパンプキンキングのジャックと、自信が全然なくて迷ってばかりいるビクターだが、その内省し、心の迷いに気づき逡巡するところは似ている。クレーの人形なのに、見ているうちにその世界に入り込んでしまうのが不思議だ。
DVDが発売されたら、ぜひ手に入れて、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』を楽しんだように、新たな発見を楽しみながら、何度も見るつもりだ。
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コメント
おじゃまします。私も「ナイトメア・…」は大好きな映画です。映画館でああいう手の込んだ作品を観るというのは,とてもつもなく贅沢な気分になりますよね。
この作品も,まずは映画館で観ないとなあと思っていたら,なんともタイミング良くちんとんさん的レビュー発見!しかも絶賛されておられる!近日中に,映画館へ走りこむことにします。
投稿: バウム | 2005/11/18 00:10
バウムさん、
コメントありがとうございます。
「ナイトメア…」、バウムさんもお好きだったんですね。いろいろな面で、「ナイトメア…」のリバーシブルのような作品だと思いました。書きたいことがいっぱいあるのですが、未見のバウムさんのために、必死に押さえています。
私も、絶対映画館でと思っていたので、公開された時からずっと、仕事のない最初のレディースデーを狙って行ってきました。
バウムさんが気に入ってくださるといいなあ。
投稿: ちんとん | 2005/11/18 10:35