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2005/11/07

『奇跡の詩』"The Third Miracle"


奇跡を描いた感動作ではなかった。奇跡を調査しなくてはならない神父の、信仰に対する苦悩を描いた作品だった。

エド・ハリスが演じるフランク神父は、奇跡が本物であったかどうか調査する仕事をしている。そして、数々の奇跡が偽物であることを証明していく。それは同時に、その奇跡を信じていた人々の信仰心を宙に浮かせ、打ち砕くものでもあった。

奇跡を疑い、奇跡でないことの証明をきっちり行う彼はまた、自分の信仰に疑いを持ち苦悩していた。しかし、苦悩する彼の姿のなんと真摯なことか。彼と一緒に神学校で学んだ神父ジョンは、「信仰を得たその日のことを覚えているか。その日から喜びに満ちた日が始まったことを」と屈託無く、そして幸福そうに話す。

ヒエラルキーの中にどっぷりと浸かって、教会という「俗」にまみれたとも見えるジョンの姿と、落ちこぼれて酒におぼれ、女性に愛を感じてしまうフランクの姿。

こういう、人間の描き方、私は好きだ。

1999年/監督:フランシス・F・コッポラ(「ロスト・イン・トランスレーション」「地獄の黙示録」「ゴッド・ファーザー」)/エド・ハリス(「白いカラス」「めぐりあう時間たち」「ビューティフル・マインド」「スターリングラード」「グッドナイト・ムーン」「トゥルーマン・ショー」「ザ・ロック」「理由」「アポロ13」)/アン・ヘッチ(「ジョンQ」「Returen to Paradise」「6ディズ/7ナイツ」「サイコ」「ウワサの真相」「ラストサマー」)

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