『バタフライ・エフェクト』"The Butterfly Effect"
大がかりなタイムマシーンのような仕掛けより、こういう心理的な形のほうが過去に戻ることができそうな気がしてくる。過去を変えたら未来も変えられるという理屈はどこか胡散臭いものがある。しかし、思うように行かない結果が繰り返しもたらされることによって、観客の抱くあやしさへの疑念は消えていく。うまくできている。
エヴァンは初恋の感情だけで動いているのではないと思う。何度も過去へ戻り、失敗し、違った境遇に陥る度に、ケリーへの思いが深まっていったのではないだろうか。素敵な女性に成長した時はもちろんのこと、落ちぶれてしまった彼女の姿を見ても、やはり思いが深まる。何回分かのうまくいかなかった人生の記憶も含めて、彼女を愛してしまったのだろう。
そう考えていくと、あの結末は、さらにすばらしく感じられる。
この映画、いろいろなジャンルに当てはまりそうだが、私は、ラブストーリーとして好きになってしまった。
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コメント
早々とご覧になっていただき、ありがとうございます。
私もちんとんさんと同じことを感じました。
もともとエヴァンは日記で過去にさかのぼる方法を見つけるまで、ケイリーのことをきれいサッパリ忘れていたのでは?って感じでしたよね。
過去を変えるということがどれだけの影響を及ぼすのか、十分学習したからこそ、最後の日記を燃やすシーンに重みが出て良かったです。
ちなみにディレクターズカット版のエンディングはエヴァンの究極の自己犠牲を描いています。
これについてはいろいろと書きたいこともありますので、記事にしたらトラックバックさせてもらいますね。
投稿: つっきー | 2005/12/01 17:38
つっきーさん、コメントありがとうございます。
そうですか。ディレクターズカット、そこまで行きますか。そこまでいかなくてもという気もしてきますが。
しかし、あの絵や父親の行動など、もしかすると、伏線であったはずなのに、伏線とならずそのままになっているように思えた部分が、そこに結びついてくるのかなあ。
記事にしてくださるのを楽しみに待っています。
投稿: ちんとん | 2005/12/01 21:25