『メメント』"Memento"
記憶が10分しか保たない人間が、誰かに復讐しようとしているというあり得ない設定。常に消えていく記憶をポラロイドカメラとメモで記録し、さらには絶対に忘れてはいけない記録は刺青にし、あいまいに覚えている「誰か」を必死に追っていく。
おもしろい時間軸の手法が取られている。最初に、最後を見せる。そして、10分ほどフィルムを巻き戻し、巻き戻したところから、前に見せた場面までを見せ、という方法を繰り返しながら、彼の行動を見せていく。その合間にさらに別の時間と時間軸のストーリーが白黒映像ではめこまれている。
その手法にはすぐに気づくのだが、その意図するところが何なのかは、見終わってしばらくしてから気づく。時間軸に沿って見せられればすぐに理解できるストーリーなのに、逆に進むと、なかなか理解できない。単純なストーリーなのに、記憶できないのだ。覚えておくポイントがどこなのかがあいまいなので、見ているはしから消えていく。
観客は主人公の、短期記憶が消えていくという症状を疑似体験させられることになる。そして、日常生活に戻ってからも、「今のこの記憶は確かか」とかすかな不安を覚える。
*「『フォーガットン』をみんなはどう見たか」でKAZUさんに「衝撃的だった」と紹介していただいたので、見てみた「記憶モノ」の映画です。
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コメント
w U。・0・。Uw オォ-
見ていただいたんですね!ありがとうございます。
この映像手法は私にとっては驚きでしたね。刻み刻みに一シーンで構成されている為、メメントの彼と同様な疑似体験を味わえる。見終わってからも、あれっ?って思ったり何か記憶ってすごいもんだなーと感心してしまいました(汗)
確かにストーリーは記憶障害者のサスペンスといった感じであるが、まさにアイデア勝ちといえる作品ですねー。リピーターが多いのもわかります。
豪語しただけに期待に沿わなかったらごめんなさいねー(汗)
投稿: KAZU | 2005/11/22 20:15
KAZUさん
コメントありがとうございます。
これ、見終わった途端に、もう一度最初から見たくなりますね。
感動作というのは違いますが、この手法、映画好きなら、「見た見た」と言いたくなるタイプのものですね。また、「記憶モノ」を制覇するならはずせない映画だと思いました。
投稿: ちんとん | 2005/11/22 23:26
こんにちは。
これも「記憶モノ」と呼べるのかどうか不安ですが、『バタフライ・エフェクト』もなかなか良かったですよ。
レンタルで観られるかどうか自信ありませんが、「劇場公開版」を観た後に「ディレクターズカット版」を観るとより楽しめます。
どっちのエンディングもいいんですよ~。(劇場公開版の別エンディングはおまけの蛇足程度なのでお話になりませんが)
私は『メメント』が未見なので、観ないといけませんね。(笑)
投稿: つっきー | 2005/11/25 10:06
『バタフライ・エフェクト』はCINEMA IN/OUTの多感な奴さんがで、紹介していらしたのを読んでから、見たいと思っていたのですが、まだでした。
いろいろなエンディングがあるというのは、楽しいのか、がっくりくるのか、自分でもよくわからない面があります。どうしようかなあ。
投稿: ちんとん | 2005/11/26 10:20
つっきーさん
早速、勧めていただいた『バタフライ・エフェクト』、見ました。
エヴァンの必死な気持ちがいいですねえ。ラブストーリーで良かったなあと思える映画があまりなかったのですが、これは、ラブストーリーとして気に入ってしまいました。
投稿: ちんとん | 2005/11/27 15:02