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2005/11/27

『バタフライ・エフェクト』"The Butterfly Effect"


大がかりなタイムマシーンのような仕掛けより、こういう心理的な形のほうが過去に戻ることができそうな気がしてくる。過去を変えたら未来も変えられるという理屈はどこか胡散臭いものがある。しかし、思うように行かない結果が繰り返しもたらされることによって、観客の抱くあやしさへの疑念は消えていく。うまくできている。

エヴァンは初恋の感情だけで動いているのではないと思う。何度も過去へ戻り、失敗し、違った境遇に陥る度に、ケリーへの思いが深まっていったのではないだろうか。素敵な女性に成長した時はもちろんのこと、落ちぶれてしまった彼女の姿を見ても、やはり思いが深まる。何回分かのうまくいかなかった人生の記憶も含めて、彼女を愛してしまったのだろう。

そう考えていくと、あの結末は、さらにすばらしく感じられる。

この映画、いろいろなジャンルに当てはまりそうだが、私は、ラブストーリーとして好きになってしまった。

2003年/監督:エリック・ブレス&マッキー・J・グラバー/アシュトン・カッチャー/エイミー・スマート/ウィリアム・リー・スコット/エルデン・ヘンソン/メローラ・ウォルターズ「マグノリア」/エリック・ストルツ

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2005/11/22

『コンスタンティン』"Constantine"


友達に、「昨日、おもしろい映画を見た」と言ったら、どういう映画だったのかと聞かれた。

以下ネタバレなので、反転させて読んでください。ここから→「ヒーローは15歳からタバコを吸い続けていて、それが原因で、肺が真っ黒の末期癌なのね。おまけに、自殺して死にかけたから、その罪で地獄行きが決まってる。悪魔払いをして善行を積もうとするのだけれど、カウントしてもらえないの。最後に、自己犠牲の善行によって、天国に昇りかけるのだけど、サタンが出てきて、肺にぐいぐい手を入れて、真っ黒な肺ガンを抜き取ったので、この世に引き戻され、ヒーローは禁煙ガムを噛みながら、天を仰いで感慨に浸るって映画。」←ここまで
「どこがおもしろいの?」
「ヒーローはクールで格好良いし、ガブリエルも不思議な存在感あったし、壮大なストーリーで、なによりヒーローが単細胞の筋肉マンじゃなくて、暗く悩んでいるところが良くて……(ダメだ、説明できない)」

2005年/フランシス・ローレンス/キアヌ・リーブス「マトリックス」「コンスタンティン」「恋愛適齢期」「マイ・プライベート・アイダホ」/レイチェル・ワイズ「ナイロビの蜂」「ハムナプトラ」「スターリングラード」「輝きの海」/シア・ラブーフ/ジャイモン・フンスー「アイランド」/マックス・ベイカー/ブルイット・テイラー・ヴィンス「シモーヌ」「海の上のピアニスト」/ティルダ・スウィントン「ザ・ビーチ」

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2005/11/21

『メメント』"Memento"


記憶が10分しか保たない人間が、誰かに復讐しようとしているというあり得ない設定。常に消えていく記憶をポラロイドカメラとメモで記録し、さらには絶対に忘れてはいけない記録は刺青にし、あいまいに覚えている「誰か」を必死に追っていく。

おもしろい時間軸の手法が取られている。最初に、最後を見せる。そして、10分ほどフィルムを巻き戻し、巻き戻したところから、前に見せた場面までを見せ、という方法を繰り返しながら、彼の行動を見せていく。その合間にさらに別の時間と時間軸のストーリーが白黒映像ではめこまれている。

その手法にはすぐに気づくのだが、その意図するところが何なのかは、見終わってしばらくしてから気づく。時間軸に沿って見せられればすぐに理解できるストーリーなのに、逆に進むと、なかなか理解できない。単純なストーリーなのに、記憶できないのだ。覚えておくポイントがどこなのかがあいまいなので、見ているはしから消えていく。

観客は主人公の、短期記憶が消えていくという症状を疑似体験させられることになる。そして、日常生活に戻ってからも、「今のこの記憶は確かか」とかすかな不安を覚える。

「『フォーガットン』をみんなはどう見たか」でKAZUさんに「衝撃的だった」と紹介していただいたので、見てみた「記憶モノ」の映画です。

2000年/監督:クリストファー・ノーラン/ガイ・ピアース/キャリー-アン・モス「マトリックス」/ジョー・バントリアーノ「マトリックス」

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2005/11/17

『ティム・バートンのコープスブライド』"Tim Burton's Corpse Bride"


期待通りだった。細かいところにまで気を配った演出がすばらしかった。

「ピアノを弾くこと」ひとつ取っても、そこに意味がこめられている。ピアノを「感情を表しすぎるもの」として禁止された育ったビクトリアが、ビクターのピアノの音色に心を動かされ、結婚を決意するということにこめられた意味。

ビクトリアとは対照的に、感情を表す生き方を選び、親の教えに従わなかったがゆえに殺されてしまった不幸な花嫁のエミリー。彼女はピアノの音色に自分の気持ちをのせて弾くことができる。ビクターと連弾する場面を見ると、生者と死者が結ばれてもいいのではないかと思えてくる。

生きている国と、死んでいる国の、意表を突いた色の使い分け。普通、この色の使い方は逆ではないかと思うが、見ているうちにだんだんわかってくる。

最後は、『ゾンビ』になるかと思ったが、ティム・バートン的展開になって素晴らしかった。

随所に『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』との、類似点、相似点が見られる。自信満々でどんどん間違った方向に突き進んでいってしまったパンプキンキングのジャックと、自信が全然なくて迷ってばかりいるビクターだが、その内省し、心の迷いに気づき逡巡するところは似ている。クレーの人形なのに、見ているうちにその世界に入り込んでしまうのが不思議だ。

DVDが発売されたら、ぜひ手に入れて、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』を楽しんだように、新たな発見を楽しみながら、何度も見るつもりだ。

2005年 監督:ティム・バートン「チャーリーとチョコレート工場」「ビッグ・フィッシュ」「スリーピー・ホロウ」「ジャイアント・ピーチ」「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」「シザーハンド」「フランケンウィニー」/ジョニー・デップ「チャーリーとチョコレート工場」「ネバーランド」「パイレーツ・オブ・カリビアン」「ショコラ」「スリーピー・ホロウ」「ギルバート・グレイプ」「シザーハンド」/ヘレナ・ボーナム/エミリー・ワトソン「奇跡の海」

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2005/11/13

『フォーガットン』をみんなはどう見たか


自分をそこそこの映画でも満足するタイプだと思っていたのですが、「フォーガットン」という映画はあまりにもあんまりな映画だと思ってしまいました。そうなると、これを他の人がどう評価しているか気になってきます。そこで、他の人たちの評価を集めてみました。集めたおかげで、がっかり派のことばに溜飲を下げることができ、満足派の表現には、確かにそういう面もあったと納得し、損した分をだいぶ取り戻せた気がします。

私の感想はこちら

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【がっかり派】
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*大半は「不満な人」「期待はずれだった人」でした。中でも予告がいけなかったという人がかなりいました。

●「レンタルだけど映画好き」 morey's room(別館)
"シックスセンス以来の衝撃的スリラー"とコピーについていたりするのだが、はっきり言って失礼だ。シックスセンスは、完結しているからね。

●「Pocket Warmer
この作品を観るにあたってはとても苦情があります。しばらく前から流されていた劇場の予告編の中で思いっきりネタバレしてたことです。

*さらに強烈な指摘は

●「Tak.Arai の 今夜もナローマインド!
皆、予告編にダマされてこの映画観たでしょ? 今回も、そのコトバにダマされてDVD買っちゃうことになるんですかね?

*他にも、いろいろなことばで「がっかり」を語ってくれているのを見つけ、同じ思いが別のことばで語られるのを読み、気分が良くなってきました。

●「ひらりん的映画ブログ」のひらりんさん
主役走りまくり過ぎ、○○○すっ飛ばし過ぎの作品

●「Movie Road -映画道-」
この手の映画にあんな存在だしたらいけないよ…せっかく期待したのに

●「ジャズの部屋 -いん ブログ-」
これだけ愚痴りたい気分になったのは久しぶりです。

●「0120 Blog
不完全燃焼この上ない状態になりました。

●「Rohi-ta_site.com
私としては「この作品がどうして非難されているのか?」が、良く理解出来たので、「とりあえず観て良かった」と思う事に致します。

●「エンタメ情報 メッタ斬りぎり
私はこの映画を観たことを忘れたい(forgottenしたい)よ!」

●「何を書くんだろー
もう、なんだか感想を書くのもツラいです。…(中略)…厳し目な評価となりましたが、期待感があっただけに残念でした。

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【中間派】
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*どちらにも分類しにくかったブログを紹介します。

*これには↓がっかり派の私も大きくうなずきました。

●「肯定的映画評論室ココログ支店
このジョセフ・ルーベンという監督さん、アイデアだけを先に思い付き、結末なんぞ深く考えないで、思いつくまま気の向くまま、スタコラサッサと撮影を開始しちゃったんじゃ~あるまいか(笑)。

*納得できる意見↓ 私も前半は結構面白いと思ったんです。

●「★☆★ Cinema Diary ★☆★
しかし、後半は最悪でした。ネタバレになるので何も言えませんが僕の一番嫌いな展開へ向かってしまいました。…(中略)…)ただ、前半中盤は楽しめたのでトータルでは結構よかったかなぁ?

●「spoon::blog
意外さの方向性が「ドリームキャッチャー」ぽい。前半部分は結構面白かったと思うんだけど。

*これらは↓「がっかり」の別表現? やっぱり肯定? でも、絶賛じゃないよね。

●「TRUTH?ブログエリア
ただのビックリ芸で、中身は無し。…中略…「なんじゃこりゃ?」っていう脱力感を味わうのがベスト。

●「プチおたく日記 vol2
無理してTV見るくらいなら、この作品見てもいいんじゃないでしょうか。

●「いいな~これ!」
不満が残る。一流のドキッ!を楽しむ作品。

*↓「ふふ」に込められた気持ちが、共感を誘っているのか、がっかり仲間をふやしたいとほくそえんでいるのか微妙。

●「BIGLOBE平社員ブログ
少し盛り上がりに欠けるなあと言うのが正直な感想。…中略…「ぶっとんでる」映画でした。これだけでも映画見る価値あるかも。ふふ。

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【満足派】
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*満足している人もいました。その中のこれ↓、この人が一番満足しています。理由もうなずけます。ぺぺさんは試写会で見られたのがラッキーだったのかも。

●「ぺぺのつぶやき
ダメな人にはウケなさそうだし、賛否両論意見が出てきそう…。
私は、かなり面白かったですよ。

*こういう満足もあるのかと思ったのがこれ↓

●「KAZZの呟き
B級映画好きにはたまらない映画です

*素直に誉めている人もいました。

●「国際経済新聞社
久々に面白い映画を観ました…中略…大満足

●「tracker's burrow
過剰な期待をしなければ、しっかり丁寧に作られた佳作だと思います。

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【笑ってしまった派】
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*肯定的、否定的、どちらとも取れないの3つに分ければ良いと思っていたのに、意外な分類がありました。「笑ってしまった派」

●「MoorDreamWorks
映画会社の苦肉のキャッチフレーズですね、TV観るたび異常にツボにはまって笑っちゃうんです。

●「アメリカTV/映画ノーツ
私も思わず痙攣したように笑ってしまったが、いや、しかし、なんというか、このショットが今年最も印象に残ったショットの1、2位を争うのは既に間違いあるまい。

●「WONDERFUL WELFARE
ということで最後まで存分に楽しんだしだいです。これはぜひ見てもらいたい。でも見ても怒らないでね。…中略…他の感想ブログとか見ても、みんなその問題のシーンのことばっか書いてるのがおもろすぎます。

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記憶モノ映画

他に記憶モノの映画ってどんなものがあったかなというのを思いつくままに書いてみました。また書き足します。(と言っていたら、どんどん記憶モノが公開されていきました。大流行ですね。)

*記憶がなくなっていく
「私の頭の中の消しゴム」「50回目のファースト・キス」「メメント」「博士の愛した数式(2006年公開)」「明日の記憶(2006年公開)」

*記憶が操作される&操作する
エターナル・サンシャイン」「バタフライ・エフェクト

*記憶が消される
「トータル・リコール」「ペイチェック消された記憶」「フォーガットン

*記憶喪失…かな?
「ボーン・アイデンティティ」「ラベンダーの咲く庭で」「フライトプラン(2006年公開)」

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2005/11/12

『フォーガットン』"The Forgotten"


最近増えたきた兆しのある記憶モノ。予告を見た時から楽しみにしていた。でも、同時に期待し過ぎちゃいけないと言い聞かせてはいたのだが…。

アメリカでは子供を可愛く思わない親が多いから、ただ必死になって探して、忘れないとがんばるだけで愛情深い母親ということになってしまうのかななんて思えてしまって…。

夫は、忍耐強くて、声を荒げたりしない。でも、考え深くない上に、鈍いからこんなことになるんだ。つまらない男だ。精神科医も知的さの足りない男。切れ者でもないし…。アッシュはさすがスポーツ選手だっただけあって、こういう時は使えるけれど、考えが足りなさそう。こんな男たちとくらべると、主人公のテリーはもちろんのこと、ポープ刑事も直感と知性のバランスがいい。つまらない男と、タフな女という対比を描いたわけでもないはずなのに…。

"ヒューン"のあとのアッシュはいいとしても、私としては点数の高かったポープ刑事に、公園でニコッと再登場してほしかった。

2004年 監督:ジョセフ・ルーベン「リターン・トゥ・パラダイス」/ジュリアン・ムーア「巡り会う時間たち」「ハンニバル」「エボリューション」「シッピング・ニュース」「クッキー・フォーチュン」「マグノリア」「マップ・オブ・ザ・ワールド」「ビッグ・リボウスキ」「サイコ」「ジェラシック・パーク」/ドミニク・ウエスト「真夏の夜の夢」/ゲイリー・シニーズ「白いカラス」「クローン」「ミッション・トゥ・マーズ」「グリーンマイル」「スネーク・アイズ」「アポロ13」「フォレスト・ガンプ」「二十日鼠と人間」/アルフレ・ウッダード「デブラ・ウィンガーを探して」

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2005/11/07

『奇跡の詩』"The Third Miracle"


奇跡を描いた感動作ではなかった。奇跡を調査しなくてはならない神父の、信仰に対する苦悩を描いた作品だった。

エド・ハリスが演じるフランク神父は、奇跡が本物であったかどうか調査する仕事をしている。そして、数々の奇跡が偽物であることを証明していく。それは同時に、その奇跡を信じていた人々の信仰心を宙に浮かせ、打ち砕くものでもあった。

奇跡を疑い、奇跡でないことの証明をきっちり行う彼はまた、自分の信仰に疑いを持ち苦悩していた。しかし、苦悩する彼の姿のなんと真摯なことか。彼と一緒に神学校で学んだ神父ジョンは、「信仰を得たその日のことを覚えているか。その日から喜びに満ちた日が始まったことを」と屈託無く、そして幸福そうに話す。

ヒエラルキーの中にどっぷりと浸かって、教会という「俗」にまみれたとも見えるジョンの姿と、落ちこぼれて酒におぼれ、女性に愛を感じてしまうフランクの姿。

こういう、人間の描き方、私は好きだ。

1999年/監督:フランシス・F・コッポラ(「ロスト・イン・トランスレーション」「地獄の黙示録」「ゴッド・ファーザー」)/エド・ハリス(「白いカラス」「めぐりあう時間たち」「ビューティフル・マインド」「スターリングラード」「グッドナイト・ムーン」「トゥルーマン・ショー」「ザ・ロック」「理由」「アポロ13」)/アン・ヘッチ(「ジョンQ」「Returen to Paradise」「6ディズ/7ナイツ」「サイコ」「ウワサの真相」「ラストサマー」)

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2005/11/06

『華氏911』"Fahrenheit 9/11"


ボウリング・フォー・コロンバイン』に感銘を受けてしまったので、『華氏911』も見ることにした。しかし、『ボウリング…』のように感銘を受けることはなかった。

『ボウリング…』は社会批判であると同時に、1人1人の心の持ちようを問うという面があり、私はそこに感銘を受けた。しかし、この作品からは、そういうメッセージを受け取ることができなかった。

ブッシュは能力がなくて、どうも、国が一大事であってもどうしたら良いのか自分で判断できないお飾りらしい。オイルマネーとの癒着も描いてある。戦争の必要性を説くのはどういう階層で、行かされるのはどういう階層かもしっかり読み取れる。しかし、それは以前から指摘されてきていること。映画という形式を取るのなら、もうひと味、別のものがないと意味がない。政治的に利用されたのかな。「洗脳」の道具として利用されてしまったのかな。そんな感じがした。

だいぶ前に衝動買いして本棚に立てたままになっている"Stuped White Men"を読んでみてから、自分なりの判断を下してみたい。

2004年/監督:マイケル・ムーア(「ザ・コーポレーション」「ボウリング・フォー・コロンバイン」)
ロジャー&ミー

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