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2005/09/02

ブロードウェイ・ミュージカル『ウィキッド』"Wicked"

一番期待していたものの、一抹の不安があった。というのは、英国ウエストエンドの『スクルージ』のように「人」を見せるものは好きだけれど、同じ題材を扱ったブロードウェイの『クリスマス・キャロル』のほうは、ラインダンスや群舞を見せる派手派手系であまり好きではなかったから。『Wicked』が後者である可能性は高いと思いながら券を取った。

結果は、派手さが良い方向に働いている上に、見応えのある良い作品で満足した。

緑色の肌に生まれついた女の子エルファバの苦悩は歌とともにちゃんと伝わってきた。特に、一幕目最後の、自分らしく意志を貫いて生きる決心をする歌「Defying Gravity」はすばらしく、聞いていて、気分が高揚していくのを感じた。

「I'm not that girl」という同じ曲を、第一幕ではエルファバが、第二幕ではグリンダが歌うのだが、同じ歌詞にこめられたちょっとだけ違う思いが、悲しく心に伝わってくる。他に、グリンダの「Popular」、エルファバの「No Good Deed」は、対照的な2人らしさが現れていて特に印象に残る。

大衆の愚かさが声を揃えて歌うことによってさらに増していく。うまく表現されていた。その大衆とは違った見方ができ、自分で考える力を持つようになったフィヨロ。そういう彼だったからこそエルファバの良さがわかり、一風変わった彼女が好きになれたのだ。これなら2人の恋は納得できる。

一方のグリンダ。アメリカの青春映画にはかならず出てくるタイプのお金持ちで高慢ちきな女王タイプの女の子。いるんだ、アメリカの教室にはこういう子が。観客はきっと具体的なイメージを持って、「そうそう」と思い出しながら見ているのだろう。

『オズの魔法使い』で、悪い魔女とされているエルファバが、どういう経緯で魔法を使い、勇気のないライオン、ハートのないブリキの木こり、脳みそのない案山子を生み出してしまったのか、ちゃんと話のつじつまがあうように紹介されていく。

手に汗握る場面もあり、2人の生き方、選択に気持ちも揺り動かされる。ミュージカルってこういうものだったということを思い出させてくれた。

苦労してネットで席を取ったのだが、結局、良い席は取れなかった。すごい人気らしい。劇場に行ってみると、きれいな服を着ている人ばかり。子供も全然いない。帰りにリムジンが数台待っていたくらい華やかな雰囲気の観客が多い劇場だった。一旦、外に出ると、タイムズスクエアは身軽な格好の観光客ばかりになるのに、この人たちはどこからわいてきたのだろう。次の『アベニューQ』、ちょっとましな服を着ていかなくてはと思った。

エルファバShoshana Bean/グリンダMegan Hilty/オズの魔法使いBenVereen/マダム・モリブルRue McClanahan/ネッサローゼMichelle Federer/ボクJeffrey Kuhn/ドクターSean McCourt

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コメント

初めまして☆
いきなりで悪いのですが・・
WICIKEDを観劇したという記事を読ませてもらいました。
私はミュージカルをやる部に入っていて、
今度【Wicked】をやるんです。
それで、私は【Boq】役になったのですが、
本物の舞台を見たことがなく、役作りに
役立てたいので、Boqという役がどんな性格で、どういう印象で、どういう風に役者さんがやっていたか、教えてもらえないですか??
良かったらメールアドレスのところから
メール待ってます。
面倒でしたら送らないでかまいません><

投稿: AMI | 2006/01/16 21:30

Boqという役は、他のエルファバやグリンダ、フィヨロなどと比べると、観客側から見て、今ひとつ感情移入しにくい役です。
AMIさんは、このミュージカルをご覧になったことがないとのことですが、演じるということですから、台本はあって、筋もご存知なわけですよね。

何をお話して良いのか今ひとつわからないので、どの程度、このミュージカルをご存知なのか、もうひとこといただけませんか。

投稿: ちんとん@ホームビデオシアター | 2006/01/16 21:32

お返事ありがとうございます。
そして、いまさら返事でごめんなさい。

台本もあって、Wickedの舞台のストーリーは
すべて把握しています!!
でも、高校生がやる舞台で、しかもすべて英語ということもあり、ストーリーは簡単に直してあるバージョンでやるんです。でも、Boqの性格や、役自体には全く変わりはないです。
CDやストーリーを聞いただけの
印象しか分からないので、ちんとんサンの
捉えた感想で良いので教えてもらえますか??

よろしくお願いします!

投稿: AMI | 2006/02/24 21:18

AMIさん、こんにちは。

ボクは、本当にとらどころのない性格だと思いました。しいて言えば、お人好しかな。

グリンダは「いい人」になって「いいこと」をしたいという気持ちと、目立つ存在ではないボクからの求愛を疎ましく思う気持ちから、ボクに「かわいそうな」エルファバの妹ネッサローザにダンスを申し込んで喜ばせてあげなさいとそそのかします。ボクはグリンダに気があるのに、そのグリンダから言われたことばでもあり、その気を引きたい一心で、そのことばに従います。

この気の引き方がとてもうまいんです。まるで本心からのよう。素直に喜ぶネッサローザを見ていて、嘘から出たまことで本当に好きになってくれればいいのにと思いつつ、そううまくいかないんだよねえと、やきもきしながら舞台を見つめました。ボクはネッサローザが喜ぶ様子を見て、良いことをしたという気持ちでうれしかったのかもしれません。

私は、このボクの様子を、その他大勢の「大衆」の愚かな行動を象徴するようなものだと思いました。

そのあと、ボクは目立った活躍をしていないので、舞台に出ていたのかもしれませんが、私は気がつきませんでした。

そして、場面は飛びます。グリンダがネッサローザと再会するところです。もともと愛がなかった2人ですが、たぶん、ボクは気が弱く、「良い人」でもあったので、ずるずるとネッサローザと結婚してしまったのでしょう。そのあとも、まるで召使いのように父の跡を継いだネッサローザに仕えています。身体の不自由な彼女を捨てられなかったということなのだと思います。

ネッサローザが歩けるようになれば、もう自分は必要ない。やっと解放されたという思いで、「グリンダのことをずっと好きだったから、告白しなくては」と、ネッサローザの元を去ろうとします。ここまでくると、ひどいというよりは、よくここまで「良い人」でいられたとびっくりします。

そして、ご存知の通りの結末。私の思いこみを入れながら、ボクのことをどう見たかを書きました。

AMIさんのボクに対するとらえかたも教えてください。

投稿: ちんとん@ホームビデオシアター | 2006/02/24 22:51


突然のかきこみすみません!
私たちの部活でもウィキッドをやろうと
思ってて
台本ってどうやって手に入れればいいですか?
ちなみに英語です!

投稿: 舞香 | 2011/08/11 12:51

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