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2005/09/19

『夢』"Akira Kurosawa's Dreams"



黒澤作品の『七人の侍』も『乱』もイギリス人に勧められ、貸してもらって見た。そのため、「異国人にこの作品はこんなふうに魅力的に見えるんだろうなあ」という観点からばかり見ていた。今回は、前の2作品と違って、自分の目で見ることができた。

奇妙であり得ない世界なのに、どこか自分が見たことのある夢とも重なるような感覚。自分の中に流れる「日本人」を感じた。いつまでも古くならないイメージの壮大さを感じた。

日本人が感覚として知っている、狐の嫁入り、天気雨、ひな祭り、雪女、帰還兵、人形や桃の花に存在しそうな霊、富岳百景の赤富士、地獄。ことばだけでも深い淵をのぞき込んだようなイメージを持つもののひとつひとつが「こんな夢を見た」で始まる独立した短編で語られて行く。しかし、順を追って最後まで見ていくと、全体が伝えたいメッセージがはっきりと見えてくる。途中、環境破壊を訴える、ある時期の流行の方向に行くのかと思ったが、違っていた。最後の葬列はすばらしい遺書のように感じられた。

1990年 監督:黒澤明(「七人の侍」「乱」)/寺尾聡/賠償美津子/根岸季衣/笠智衆

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コメント

私も黒澤監督の作品が大好きで、全作品のDVDBOXまで買ってしまいました。(汗)
でもこの『夢』は配給会社が違うので、BOXに含まれていないんです。とはいえ、観ていますよ~。(DVDも持ってるし)

この作品にはストーリーというものは存在せず、もともと画家志望だった黒澤明監督のアートな世界、例えるなら、「もし黒澤明が画家だったら、こんな絵を描いただろう」というのを映像化したもの、と私はとらえています。

興行的には失敗だったと思いますが、私は黒澤監督の美的感覚を楽しむ映画だと思って観ていますから、とても楽しめました。

個人的にはやはり「狐の嫁入り」を見てしまった子供の話が一番印象に残ります。
あの行列の儀式的な行進・・・思わず、TVの前で真似してしまいました。(笑)

投稿: つっきー | 2005/09/25 06:09

黒澤明監督は画家志望だったのですか。だから、あのゴッホの話が入っているのかな。

私はあの、ゴッホの絵の中に取り込まれていく世界が、高熱でうなされたときに見る夢のようで、見ていて頭のねじが変な方向にまわされているような落ち着かないざわざわした感じがして、嫌でした。神経に障るような感じ。

狐の嫁入りは印象に残りますね。恐いけれど、見てみたいような気がしてしまいました。

興行的に失敗だったというのはわかるような気もしますが、ビデオで見た限りでは、私は好きな作品でした。映画館で見たら物足りない感じがするのかなあ。

投稿: ちんとん | 2005/09/25 20:33

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