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2005/09/01

オフ・ブロードウェイ 『ストンプ』"STOMP"

もともとイギリスで始まったパフォーマンスがアメリカに上陸し、その後、日本公演もあったという出し物。

アメリカに上陸し、しばらくして話題になった頃、私はニューヨークに住んでいた。新聞の評は大絶賛だったが、「壁の上のほうまで行って叩いてまわるエネルギッシュな……」「観劇の際は汚れても良い服装で……」といった表現に、モノを叩いてまわるただうるさいだけのシロモノかもしれないと恐れをなして、二の足を踏んでしまった。

そういうわけで、今回はハズレも覚悟で出かけてみた。ところが、ハズレたのは演技ではなく私の予想のほう。すばらしかった。

エネルギッシュなだけではない、そこには、小さい音、かすかな音も大切にする音楽性があり、ことばを使わずに表情と身振りだけで行うストーリー性まであった。演じる人1人1人に「楽しげ」「まじめ」「ボケ」「気むずかし屋」といった性格付けがされているコミカルな演技には心の底から笑えた。

ほんの少しのズレを演じ分け、音の大小を組み合わせ、どこにでもあるものを楽器にして叩くだけなのに音の表情まで変えられる6人に希有の才能を感じた。

楽器にする道具として、デッキブラシ、流し台、配水管、大きなプラスチックボトル、新聞紙、ノコギリ、ドラム缶の缶下駄、ドラム缶の蓋、棒、バスケットボール、マッチ箱等が登場した。新聞を使ったプロットでは、笑い過ぎて、涙が出てきた。

前日に窓口で券を買ったのだが、行ってみると席は満席。窓口の若い青年が、"STOMP"に誇りを持って売っていて、楽しんでもらえるという自信にあふれた、生き生きとした話し方が印象的だった。小さな劇場だから、彼も演技見習いかなにかだったのかもしれない。

出演:CarlosThomas(素晴らしい技術) KeithMiddleton(格好良い、笑わせる才能抜群) StephanieMarshall(素晴らしい反射神経の女性) BradHolland(飄々としたボケ役) Camille A.Shuford(かわいらしいボケ役) FionaWilkers(あまり目立たないリーダー) NicholasYoung(力技の中堅どころ)

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