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2005/07/18

『砂と霧の家』"House of Sand and Fog"


良質な日本映画を思わせる「間」が効果的に使われている静かな作品。夕焼けや、霧の掛かった橋や、海辺の風景など、じっっくり見せてくれる。しかし重い。

ごく普通だと思っている人間の生活が、実はもろいもので、いつ崩れるか分からないのだという、根底を揺るがすような不安感が心の中に忍び入ってくる。

イラン人、ベラーニ大佐の家族は立派で素晴らしい。彼は、上流社会的生活を続ける家族を守るために、家族にはホワイトカラーの仕事をしているように見せながら、肉体労働をして生活を支えている。気品があり、振る舞いも気高い。家の高価な調度品を美しく維持している妻サーシャにも貴族のような美しさがあり、家族を内側から守る母としての優しさがある。

ベラーニ大佐は実に正しかった。冷静で責任感があり、毅然としていて…。それに対する警察も、組織としては正しい判断をして動いている。それなのに…。

一方、家を奪われた側のキャシー。家をきれいに保つこともできないほど、配達された封書を開くこともできないほど、うちひしがれていた。それは温かい家族を欲していたのに、それがかなわなかったから。ベラーニ大佐の家族のような暖かさが欲しかったのだろう。

キャシーがベッドで、2人の足下にまるくうずくまる姿が哀しく、印象的だった。

2004年/監督:ヴァディム・パールマン/キャシー:ジェニファー・コネリー「ビューティフル・マインド」/ベラーニ大佐:ベン・キングスレーベン・キングズレー「デーヴ」「A.I.」「ガンジー」「バグジー」/ナディ:ショーレ・アグダシュルー/レスター:ロン・エルダード

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