『アメリ』"Le Fabuleux destin d'Amelie Poulain"
一風変わった生い立ちのアメリは、大人になり、家を出て、パリのアパートで一人暮らしをしている。仕事はカフェのウエイトレス。すばらしい想像力と、大きな目を輝かせての小悪魔的悪戯はますますエスカレートしていっている。
この悪戯、時々、観客の許容範囲を超えた側へはみ出す。映画で目にする残虐な場面や、行き過ぎや、まやかしには慣れている観客も、この種の「悪戯」には慣れていないので、どぎまぎしてしまう。果たして肯定的に見ていって大丈夫なのだろうかと。
しかし、寂しく家にこもりがちの父親を元気づけるために庭のドアーフ(小人)の置物に世界旅行をさせるエピソードを始めとした、安心して見ていられる素敵な「悪戯」たちに包まれていくうちに、だんだんとアメリの世界に引き込まれ、わくわくしてくる。気がつくと、もう観客はこの世界に取り込まれてしまう仕掛けだ。
アメリは自分の孤独には気づいていない。こんな世界を共有できる人などいるわけない。ましてや、アメリにさらに輪を掛けたような変人など…。
以下ネタバレしてます。反転して読んでください。→映画を見終わってからも、アメリとニノが今頃パリのどこかで頭を付き合わせて、次の楽しい悪戯の計画を練っているかもしれないと思えてきて、しばらく楽しい気分が続く。
ずっと流れているおしゃれなアコーディオンの音楽と、一時代前の映画のようなナレーションがまたとても良い味を醸し出している。
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2001年
監督:ジャン・ピエール・ジュネ
アメリ/オドレイ・トトゥ
ニノ/マチュー・カソヴィッツ「ミュンヘン」
*「 」内はその人の作品のうち見たことのあるものの題名
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コメント
最近のちんとんさんの鑑賞リストは,「観たいと思っていてもなかなか観る機会がないもの」が多いので,「読んだらマズい!」と思う記事ばかりなのが困りもの(笑)
さてこの「アメリ」は私のお気に入り作品です。観たのはパリの映画館ですが,観たその足でサントラを買い,翌日にはモン・マルトルへノコノコ出向きました(爆)
「わからん!」と叫ぶお父さん,大好きです(笑)
投稿: バウム | 2005/03/04 23:25
バウムクウヘンさん
これ、パリでご覧になったんですか。うらやましいなあ。映画を見たあと、この雰囲気に浸ることのできる街を歩けるなんて最高ですね。おまけに、そこでサントラを買ったなんて。
この土地でこれが見られて良かったという体験は私にもあります。ユダヤ人が多く住む地域で見た映画「プリンス・オブ・エジプト」と、ウィーンで見たミュージカル「エリザベート」。
でも、パリで「アメリ」を見るというのには、完全に「負け」です。いいなあ。
投稿: ちんとん | 2005/03/05 11:22