『トゥルーマン・ショー』 "The Truman Show"
最初のインタビューの場面にも、それに続くカメラアングルにも、え?え?え?の連続。それなのに、素直な観客である私は、その設定に、まさかねえと思いつつもそのまま感情移入して見ていた。だから、トゥルーマンの絶望感もしっかり味わうことができた。
見終わってからも、なにか空恐ろしいような気持ちが波状的に押し寄せて来る。実は私の生きているこの世界も……。いや、テレビの画面に見入っている私達っていったい? さらには、結局はある世界観の中でしか生きられないということはそういうことなのかもといった具合に。
探偵物を読んでいて、最初の1ページで仕掛がわかってしらけてしまうというタイプの人には楽しめない映画かもしれない。しかし、薄々感じつつもちゃんと騙されて見ていくというタイプの人には、本当の寒くなるような虚無感が味わえる構造になっている。そして、そのあとにくる希望も……。
エド・ハリスの熱演する場面が良かった。生みの親である父親の顔だ。あれはフェイクではないだろうと思わせるものがあった。ローラ・リニー扮するメリルのCMの場面はあとで思い返した時にやっと気が付いて笑ってしまった。
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