『ワグ・ザ・ドッグ/ウワサの真相』"Wag the Dog"
この映画が公開されてから、現実にクリントン政権下で似たようなできごとが続いた起こったため、「大統領はこの映画からヒントを得て、スキャンダルが報道されそうになるたびに、どこかへ爆撃を行っているのではないか」という話が何度かアメリカのマスコミ上で取りざたされた映画。
(注:クリントン事件をベースに作られていると思っている人がいるようですが、それは逆。この映画の公開のほうが先だったから。当時、NYで生活していましたが、ちまたでは「大統領がこれを見て爆撃しているのでは」などとささやかれていました。2005.9.23追記)
「犬はなぜしっぽを振るのか。それは犬のほうがしっぽよりかしこいから。もし、しっぽのほうがかしこかったら、しっぽが犬を振る。(Wag the Dog)」という、映画の冒頭に出てくることばが、この映画の中身そのものをあらわしている。すなわち、しっぽ(大統領側近)が大統領を振る話。そして、国民もしっぽ(大統領)に振りまわされているのかもと…。
大統領選を間近に控えた時期の現職大統領にスキャンダルが…。続投のためのキャンペーン映像もむなしくテレビに流れる。そこで、大統領のイメージを作っている側近達(ロバート・デニーロ)が考えたのが、ハリウッドの大物監督(ダスティン・ホフマン)の起用。監督はその期待に応え、嘘のニュースを作り、ちまたには関連した感動的な歌が流行るようにするといった具合に大胆に情報操作を演出していく。
大統領の、嘘で塗り固められたイメージ、でっち上げ、黒幕の存在といったことに目を奪われて話の筋を追うが、そういったダイナミックな話の下に組み込まれているのが、この映画監督はいったい何を考えてこんなことに熱中しているのかという点。ここに別の、さらにハリウッドをおちょくったようなメッセージも隠されている。
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1997年
監督:バリー・レヴィンソン(「レインマン」「バグジー」)
スタンリー監督/ダスティン・ホフマン(「クレイマー・クレイマー」「レインマン」「卒業」「ムーンライト・マイル」「ネバーランド」)
側近コンラッド/ロバート・デ・ニーロ(「ハイド・アンド・シーク」「アナライズ・ミー」「ミート・ザ・ペアレンツ」「レナードの朝」)
側近ウィンフレッド/アン・ヘッチ(「ジョンQ最後の決断」「サイコ」「6デイズ/7ナイツ」「ラストサマー」「リターン・トゥ・パラダイス」「奇跡の詩」)
大統領/マイケル・ベルソン
少女・キルスティン・ダンスト(「モナリザ・スマイル」「ヴァージン・スーサイズ」「若草物語」「ジュマンジ」「エターナル・サンシャイン」
*「 」内はその人の作品のうち見たことのあるものの題名
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