マイ「サウンド・トラック」『第三の男』
今週のお題「マイ・テーマ曲」(トラックバック野郎)へのトラックバックです。
子どもの頃、家にサウンド・トラックと呼ぶにはちょっと無理がある映画音楽のレコードが1枚だけあった。そこにはいっていたのが「第三の男」。聞いたこともない、実に不思議な音色だった。この楽器はギターなのだろうか。どんな画面に流れるのだろう、どんな映画なんだろうといつも想像しながら聞いていた。高校生になってから、あの楽器がギターではないことを知ったが、実際に映画を見たのは大人になってからだった。
想像力をふくらませて、期待すぎた映画、しかも白黒のものを見ると、ハズレてしまうことも高いのだが、これは想像以上にすばらしいものだった。薬の犠牲となった子どもたちの映像は見せず、ベッドの上にころがったおもちゃと、その子どもたちを見つめる人の表情でその悲惨さをあらわす。マンホールのを握りしめる指。並木道を歩いて行く女の後ろ姿。その押さえた映像は、軽快で洒落たあの曲と音色にぴったり合っていた。
好きな映画のサウンド・トラックはいくつも持っているが、これ以上の「マイ・サウンドトラック」に出会うことは難しいだろう。
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