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2005/01/31

『ビーン』 "Bean"

 テレビの「ミスター・ビーン」のほうがおもしろいと言ってしまえばその通りなのだけれど、これはこれでおもしろい。

 テレビのシリーズでは全然しゃべらないミスター・ビーンだが、この映画では、最後のほうで出てくるミスター・ビーン(ドクター・ビーンと言うべきか)によるスピーチが目玉。ただの美術館の監視員なのに、重々しく「私はいつも絵を見ている」と言うと、その道の権威のようにも見えてくるからおもしろい。

 ただ、この映画、ハリウッド映画だけあって、ビーンのおかしさが主役じゃないのかもしれないという気もしてくる。同時に描かれている、ビーンの世話をすることになったデイビッドの底抜けな人の良さが実に良い。徹底的にフェアで、人を疑わず、ものごとがうまくいかないと自分の力の足りなさを悲しむ。ここであきらめてはいけないと楽天的にがんばる。アメリカ人の理想像を単純化し平均化するとこうなるのかなと思う。
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1997年
監督:メル・スミス
ビーン/ローワン・アトキンソン(「ラブ・アクチュアリー」「ローワン・アトキンソン・ライブ」「ミスター・ビーンTV」「ブラック・アダーTV」「魔女がいっぱい」)
デビッド/ピーター・マックニコル(「アダムス・ファミリー2」)
アリソン/パメラ・リード
ケビン/アンドリュー・ローレンス
*「 」内はその人の作品のうち見たことのあるものの題名

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『恋するための3つのルール』 "Mickey Blue Eyes"

-=-=-[感想] ネタバレなし-=-=-

 映画によってヒュー・グラントが好きだったり、嫌いだったりするのだが、この映画のヒューは好き。

 かっちりした服装を決めてオークションの仕事をする好青年マイケルは恋人ジーナに結婚を申し込む。ところがジーナはなぜか申し出を拒み泣き崩れる。学校の教師を務めるジーナは、実はマフィアの娘だったのだ。愛するマイケルをマフィアの世界に引きずり込みたくないと隠していたのだった。もちろん結婚などとんでもないと。

 それまでジーナの家がどこにあるかも知らなかったマイケルだが、やっとのことで彼女の家を探し当てる。おかしな具合で、結婚を許してもらったあと、何がなんだかわからないままに、全然似合わないマフィアの世界にどんどん引きずり込まれていくところがコメディタッチで描かれる。

 「そんなじゃマフィアでないことがすぐばれてしまう」と、教養人風英国発音をマフィア風の発音に直す練習をさせられるところなど笑ってしまう。

 ジーナの父親の片腕ヴィニーが恐いのか、可愛いのかよくわからないところがまた良い。
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1999年
監督:ケリー・マッキン
マイケル/ヒュー・グラント(「日の名残り」「ウェールズの山」「ラブ・アクチュアリー」「ブリジット・ジョーンズの日記」「ノッティングヒルの恋人」)
ジーナ/ジーン・トリプルホーン(「スライディング・ドア」)
父フランク/ジェームス・カーン(「ゴッド・ファーザー」「ドッグヴィル」)
上司/ジェームス・フォックス
ヴィニー/ジョー・ヴィテレリー(「愛しのローズマリー」「アナライズ・ミー」)
ヴィトー/バート・ヤング
FBI/スコット・トンプソン
*「 」内はその人の作品のうち見たことのあるものの題名。

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2005/01/30

『ラブ・アクチュアリー』"Love Actually"

 いくつもの話が進行するオムニバス風の作品。クリスマスにホームビデオで見て、ここがいい、この話が好きと語り合うのにぴったりの映画。

 私はジュリエットとピーターとマークのストーリーが好きだ。ダニエルとサムの父と息子(正確には妻の子)の関係もいい。

 場面で好きなのは、結婚式がミュージカルのように盛り上がる場面。イギリスならありそうと思える"サプライズ"だ。

 おかしな映画に出演する男女のストーリーがある。あの映画はいったいなんなのだろうと思っていたところ、あの2人は実際の俳優が出てくる前に試し撮のために主要な場面を演じる役なのだということがDVDのおまけの映像の説明でわかった。

 ひとつひとつのストーリーの紹介はこちら。ただしネタバレ全開なので、クリックする時は注意!
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2004年
監督:リチャード・カーティス(「ミスター・ビーンTV版」「ビーン・制作指揮」「ノッティングヒルの恋人」「ブリジット・ジョンズの日記」)
●首相と秘書/ヒュー・グラント(「日の名残り」「ウェールズの山」「ブリジット・ジョンズの日記」「ノッティングヒルの恋人」「恋するための3つのルール」)&マルティン・マカチョン
●ダニエルとサム(息子)/リーアム・ニーソン(「ギャング・オブ・ニューヨーク」)&トーマス・サンスター
●ジェイミーとオーレリア/コリン・ファース(「真珠の耳飾りの少女」「ブリジット・ジョーンズの日記」「恋に落ちたシェイクスピア」「イングリッシュ・ペイシェント」)&ルシア・モニッツ
●ハリーとカレン/アラン・リックマン(「ハリー・ポッターと賢者の石」)&エマ・トンプソン(「日の名残り」「ウインター・ゲスト」)
●サラとカール/ローラ・リニー(「デーヴ」「トゥルーマン・ショー」「ライフ・オブ・デビッド・ゲイル」)&ロドリゴ・サントロ「ビハインド・ザ・サン
●ビリー(老ロック歌手)とジョー/ビル・ナイ&?
●ジュリエットとピーターとマーク/キーラ・ナイトレイ(「パイレーツ・オブ・カリビアン」)&?&アンドリュー・リンカーン
●コリンとアメリカンギャル/クリス・マーシャル
●ジュディとジョー/ジョアンナ・ペイジ&マルティン・フリーマン
●店員/ローワン・アトキンソン(「ローワン・アトキンソン・ライブ」「ビーン」「ブラック・アダーTV」)
●米国大統領/ビリー・ボブ・ソントン(「アルマゲドン」「チョコレート」)
*「 」内はその人の作品のうち見たことのあるものの題名

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2005/01/28

『奇蹟の輝き』"What Dreams May Come"

-=-=-[あらすじと感想] ネタバレなし-=-=-

 きれいで不思議な天国の風景、SFを思わせるような地獄の風景、ちょっと行ってみたいなあと思ったり、でもやっぱりああいう天国はいくら幸福でも退屈だろうなあと思ったりした。

 スイスの大自然の中で、美しい女性と出合い幸せな結婚をしたクリス。クリスは優秀な医者で、美しい妻のほうは画家というすばらしいカップル。2人は幸福な家庭を築くのだが、突然の事故で子供を失う。それから4年後、今度はクリスも交通事故で死ぬ。

 死んだクリスは不思議な青年に導かれ、美しい色彩あふれる天国に行くのだが、絶望の底にいる妻を放っておくことができない。記憶の中で語られる映像から、夫婦や親子の関係がただ穏やかだったわけではないこともわかってくるのだが、それがかえって深い愛情を思わせる部分でもある。

ファンタジーのようでもあり、哲学的でもある映画。

 MPAAのレーティングが PG13になっていて、その理由が、死を扱っていることの他に"some disturbing images and language."と書いてあるのが納得できる。この映像は頭を混乱させるような美しさだ。怖い。
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1998年
監督:ヴィンセント・ウォード
クリス/ロビン・ウィリアムス(「アンドリューNDR114」「パッチ・アダムズ トゥルー・ストーリー」「グッド・ウィル・ハンティング」「フラバー」「ジャック」「ジュマンジ」「ミセス・ダウト」「レナードの朝」)
アニー/アナベラ・シオラ
イアン/ジョッシュ・パドック
マリー/ジェシカ・ブルックス・グラント
アルバート教授/キューバ・グッディング・Jr(「恋愛小説家」)
トラッカー/マックス・フォン・シド(「ヒマラヤ杉に降る雪」)

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2005/01/26

『スライディング・ドア』 "Sliding Doors"


 ロンドンが舞台の映画です。地下鉄に乗りそこなったヘレンと、乗れたほうのヘレンという同じ人物の話が並行して展開していく。

 ヘレンは、いつまでたっても書き終わらない「未完の大作」を書いている作家志望のジェリーと同棲中。ヘレンはジェリーの生活も支えて働いている。一方、ジェリーは、いかにもという感じの、押しの強いアメリカ人女性と浮気している。

 片方のヘレンはその浮気現場を目撃してしまい、もう片方のヘレンはそのまま騙され続けて....。

 同時に進行する「もしあの時、ああなっていたら」という話が、重要なポイントに来る度に、微妙に交錯しあって、洒落た味わいを醸し出している。こんな2つの話が同時進行させてしまって、最後はどう決着が付くのだろうと不安になったのだが、きっちりと完結している。

 ヘレンの親友アンがそれぞれの違った展開の話の中で、違った意味を持ちながらも、同じように戸口に立つ男に向かって啖呵を切る場面が壮快。

1997年/監督:ピーター・ハウィット ヘレン:グウィネス・パルトロウ「愛しのローズマリー」「リプリー」「恋におちたシェイクスピア」/ジェームズ:ジョン・ハンナ「ハムナプトラ・失われた砂漠の都」/ゲーリー:ジョン・リンチ/リディア:ジーン・トリプルホーン「恋するための3つのルール」/アン:ザラ・ターナー
*「 」内はその人の作品のうち見たことのあるものの題名

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2005/01/24

『リターン・トゥ・パラダイス』"Return to Paradise"

-=-=-[感想] ネタバレなし-=-=-
 (日本未公開/日本語版ビデオなし)

 卒業旅行でマレーシアに出かけて、はめをはずした3人。旅行中に知り合った5ヶ月間だけの友達。トニーとシェリフはアメリカに帰り、ルイスは自然保護運動のためにマレーシアに残った。ところが、2人が帰っていった翌日、別の用事でルイスのコッテージに来た警察官が麻薬であるハシシを発見する。1人で 100グラム以上の麻薬を所持していたことになったため、ルイスは自動的に麻薬ディーラーとみなされ死刑が宣告されることに。

 それから2年後、死刑執行の日まで8日間を残すのみとなった時、弁護士のベスがアメリカでの快適な生活にどっぷりとつかっている2人を見つけ出し、ルイスのことを知らせる。「2人がマレーシアに戻り、法廷で証言し、自分の分の麻薬についての責任を取ることによってのみ、 ルイスを絞首刑から救うことができる。2人が戻れば3人それぞれが3年の禁固刑。1人が戻って3年の刑を受ければ、ルイスは6年の禁固刑になる」とルイスは説得を試みるのだが…。

 トニーは知性に従って行動し、シェリフは心の叫びに従って行動するという対比が興味深く描かれていた。どちらも良心を持ち、勇気を持って行動することになるのだが…。3人の性格の違いが細かい描写によってよく表現されていて、結末もなるべくして起きるようになっている。よく計算されて描かれていると感心した。

 麻薬所持に極刑を与える国についての報道が、ヨーロッパではともすると「野蛮な文化が文明人を裁く」というようにも取れる形になりがちだったことを、常々苦々しい気持ちで眺めていた。また、ヨーロッパの動物愛護、自然愛護団体と称する人達の中に極端な面が見られることも見ていたので、そういう点に配慮されている内容だったことにはほっとするものを感じた。しかし、まだその図式から抜け切れていない部分も残っていることを感じた。

 *死刑制度が描かれている映画には他にこんなものがあります。
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1998年
監督:ジョセフ・ルーベン
シェリフ/ヴィンス・ヴォーン(「ザ・セル」「サイコ」「ロスト・ワールド ジェラシック・パーク」)
ベス/アン・ヘッチ(「ジョンQ 最後の決断」「サイコ」「ウワサの真相 ワグ・ザ・ドッグ」「ラスト・サマー」「6デイズ/7ナイツ」「奇跡の詩」)
ルイス/ホアキン・フェニックス(「サイン」「ヴィレッジ」「グラディエーター」)
トニー/デイヴィッド・コンラッド
*「 」内はその人の作品のうち見たことのあるものの題名

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2005/01/23

『クローン』 "Impostor"

-=-=-ネタバレは下のほうで反転表示-=-=-

 ケンタウリ星人との戦いにより、環境が破壊された地球。ひとびとはドームに守られた都市での生活を強いられている。主人公スペンサーは優秀な科学者。

 そのスペンサーにケンタウリ星から送り込まれた人間爆弾ではないかという嫌疑が掛けられる。権力の手によって生きたまま心臓から爆弾がえぐり取られそうになるが、危機一髪のところで逃げ出す。この人間爆弾というものは攻撃対象となる人物の近くで反応すると、自爆するという仕掛けがされていること以外は、記憶も肉体もDNAもすべて元の人間と同じに作られている。

 スペンサーは自分が人間なのか、あるいは人間だと信じるようにプログラムされている人間爆弾なのか不安を持ったまま逃げることになる。

 納得できないところはいっぱいあるのに、ゲイリー・シニーズの真剣に苦悩する表情と、薬による幻想とも薄く残っている記憶ともつかないフラッシュバックのような映像を見ていると、「自分は何者なのか」という根元的な不安がしっかりと伝わってくる。

 ここからネタバレ、反転させて読んでください→爆発する仕掛けが、実は「自分が何者かを知った時」であったことに気付いた時、私は絶句してしまった。だから、「俺は爆弾じゃない!」と叫んでいる被疑者から心臓をえぐり取って、爆弾を処理する必要があったわけだったのか。
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2001年
監督:ゲイリー・フレダー
スペンサー/ゲイリー・シニーズ(「白いカラス」「二十日鼠と人間」「フォレスト・ガンプ一期一会」「アポロ13」「ミッション・トゥ・マーズ」「スネーク・アイズ」「グリーン・マイル」)
マヤ/マデリーン・ストーン
ハサウェイ/ヴィンセント・ドノフリオ(「ザ・セル」「マルコムX」「メン・イン・ブラック」)
*「 」内はその人の作品のうち見たことのあるものの題名

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2005/01/22

『メリーに首ったけ』 "There's Something about Mary"



 キラキラと可愛らしいメリーをめぐるストーカー達の戦いというばかげていてお下品なお話。

 精神科のお世話になっているストーカーや、殺人鬼、詐欺師、メリーを"たぶん"本当に愛している男達、そういう人達の繰り広げるドタバタを見ていると、まともなのは、メリーと知的障害を持っているその弟だけという気がしてくる。弟はもう良い年のおじさんだが、実に愛らしい。

 悪ふさげが過ぎているのに嫌な気分にならないのは、登場人物すべてがどこか憎めない人物として描かれている点と、意地悪に描かれがちな美人のヒロインが、明るくて、生き生きとしていて、優しくて、心底良い性格であるという点にありそう。

 動物愛護協会などいろいろな団体から抗議が殺到したのではなどと心配になってしまったが…。
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1998年
監督:ピーター・ファレリー「愛しのローズマリー
メリー/キャメロン・ディアス(「イン・ハー・シューズ「ギャング・オブ・ニューヨーク」「バニラ・スカイ」「シュレック」「マルコヴィッチの穴」「ベスト・フレンズ・ウェディング」「真夏の出来事」)
パット/マット・ディロン「クラッシュ
テッド/ベン・スティラー(「僕たちのアナ・バナナ」「ミート・ザ・ペアレンツ」)
タッカー/リー・エヴァンス(「マウス・ハント」)

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2005/01/20

『ナビゲーターある鉄道員の物語』 "The Navigators"

-=-=-[感想] ネタバレなし-=-=-

 私がイギリスに住んでいた1990年代後半はすでにこの映画に語られているような、国鉄民営化に伴う英国の鉄道の弱体化が進んでいた。(それに関連して書いた話はこちら→「英国よもやま話・電車」)

 利用客たちは、あきらめと苦笑をもってがたがたになっていくブリティッシュ・レイルを見ていたが、そこにはどこか暖かさも感じられた。それは、以前の誇り高き労働者としての鉄道員への理解と現在の境遇への共感があったからかもしれない。

 そんな事情がよく伝わってくるストーリーだった。
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2001年
監督:ケン・ローチ
出演:ジョー・ダッティン
   トム・クレイグ

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2005/01/18

マイ「サウンド・トラック」『第三の男』

 今週のお題「マイ・テーマ曲」(トラックバック野郎)へのトラックバックです。

 子どもの頃、家にサウンド・トラックと呼ぶにはちょっと無理がある映画音楽のレコードが1枚だけあった。そこにはいっていたのが「第三の男」。聞いたこともない、実に不思議な音色だった。この楽器はギターなのだろうか。どんな画面に流れるのだろう、どんな映画なんだろうといつも想像しながら聞いていた。高校生になってから、あの楽器がギターではないことを知ったが、実際に映画を見たのは大人になってからだった。

 想像力をふくらませて、期待すぎた映画、しかも白黒のものを見ると、ハズレてしまうことも高いのだが、これは想像以上にすばらしいものだった。薬の犠牲となった子どもたちの映像は見せず、ベッドの上にころがったおもちゃと、その子どもたちを見つめる人の表情でその悲惨さをあらわす。マンホールのを握りしめる指。並木道を歩いて行く女の後ろ姿。その押さえた映像は、軽快で洒落たあの曲と音色にぴったり合っていた。

 好きな映画のサウンド・トラックはいくつも持っているが、これ以上の「マイ・サウンドトラック」に出会うことは難しいだろう。

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2005/01/17

『ジョンQ 最後の決断』 "John Q"

-=-=-[背景と感想]ネタバレなし-=-=-

 日本の保健制度とは全く違う、アメリカの保険制度への批判が底に流れている映画。アメリカでは、掛け金の高い保険料を払える人は、良い病院に入ることができるし、より高度な治療が受けられる。難しい病気になると、まず自分の入っている保険制度ではどこまでの治療が受けられるのかを調べるところから始めなければならないのだ。保険がその治療をカバーしていないのなら、莫大な医療費を払うことになってしまう。結果的に治療をあきらめざるをえない人が出てくる。

 結局、ジョンQはあきらめきれず、心臓病の息子を救うために人質を取って病院を占拠することになる。そして、そこに至るまでの地道な活動もきちんと映画の前半で描かれる。この部分があってこそ、後半が説得力のあるものとなる。拳銃を持ってのただの暴力的な人質事件の映画でないところが、この映画をひと味もふた味も違ったおもしろいものにしている。

 三者三様の人質達の様子や、考え方の変化もまたうまく描かれている。
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2002年
監督:ニック・カサヴェテス
ジョンQ /デンゼル・ワシントン(「トレーニング・デイ」「マルコムX」「遠い夜明け」「)
フランク/ロバート・デュヴァル(「シビル・アクション」「ディープ・インパクト」「地獄の黙示録」「ゴッドファーザー」)
レイモンド医師/ジェームズ・ウッズ「ヴァージン・スーサイズ
レベッカ/アン・ヘッチ(「サイコ」「6デイズ/7ナイツ」「ウワサの真相 ワグ・ザ・ドッグ」「ラストサマー」「リターン・トゥ・パラダイス」「奇跡の詩」)
モンロー/レイ・リオッタ
*「 」内はその人の作品のうち見たことのある作品の題名

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2005/01/16

『ワグ・ザ・ドッグ/ウワサの真相』"Wag the Dog"

 この映画が公開されてから、現実にクリントン政権下で似たようなできごとが続いた起こったため、「大統領はこの映画からヒントを得て、スキャンダルが報道されそうになるたびに、どこかへ爆撃を行っているのではないか」という話が何度かアメリカのマスコミ上で取りざたされた映画。
 (注:クリントン事件をベースに作られていると思っている人がいるようですが、それは逆。この映画の公開のほうが先だったから。当時、NYで生活していましたが、ちまたでは「大統領がこれを見て爆撃しているのでは」などとささやかれていました。2005.9.23追記)

 「犬はなぜしっぽを振るのか。それは犬のほうがしっぽよりかしこいから。もし、しっぽのほうがかしこかったら、しっぽが犬を振る。(Wag the Dog)」という、映画の冒頭に出てくることばが、この映画の中身そのものをあらわしている。すなわち、しっぽ(大統領側近)が大統領を振る話。そして、国民もしっぽ(大統領)に振りまわされているのかもと…。

  大統領選を間近に控えた時期の現職大統領にスキャンダルが…。続投のためのキャンペーン映像もむなしくテレビに流れる。そこで、大統領のイメージを作っている側近達(ロバート・デニーロ)が考えたのが、ハリウッドの大物監督(ダスティン・ホフマン)の起用。監督はその期待に応え、嘘のニュースを作り、ちまたには関連した感動的な歌が流行るようにするといった具合に大胆に情報操作を演出していく。

 大統領の、嘘で塗り固められたイメージ、でっち上げ、黒幕の存在といったことに目を奪われて話の筋を追うが、そういったダイナミックな話の下に組み込まれているのが、この映画監督はいったい何を考えてこんなことに熱中しているのかという点。ここに別の、さらにハリウッドをおちょくったようなメッセージも隠されている。
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1997年
監督:バリー・レヴィンソン(「レインマン」「バグジー」)
スタンリー監督/ダスティン・ホフマン(「クレイマー・クレイマー」「レインマン」「卒業」「ムーンライト・マイル」「ネバーランド」)
側近コンラッド/ロバート・デ・ニーロ(「ハイド・アンド・シーク」「アナライズ・ミー」「ミート・ザ・ペアレンツ」「レナードの朝」)
側近ウィンフレッド/アン・ヘッチ(「ジョンQ最後の決断」「サイコ」「6デイズ/7ナイツ」「ラストサマー」「リターン・トゥ・パラダイス」「奇跡の詩」)
大統領/マイケル・ベルソン
少女・キルスティン・ダンスト(「モナリザ・スマイル」「ヴァージン・スーサイズ」「若草物語」「ジュマンジ」「エターナル・サンシャイン
*「 」内はその人の作品のうち見たことのあるものの題名

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2005/01/14

『6デイズ/7ナイツ』"Six Days Seven Nights"

-=-=-[あらすじと感想]-=-=-

 毎日の仕事に追われている男女2人が南の島での休暇を楽しもうとやって来る。これをきっかけに結婚へと考えるフランクからロビンへのプレゼントの旅行だったのだが、ロビンの上司から休暇先へ電話が掛かり急な仕事を依頼される。断りきれなかった彼女は、急遽、島からヘリコプターで仕事の資料を受け取りに飛び立たなくてはならなくなる。ところがロビンとパイロットを乗せたヘリコプターは嵐に巻き込まれ、無人島に不時着。

 ハラハラ、ドキドキの冒険物。まるでディズニーランドの出し物みたい。また、その展開もちょっと漫画的。

 同じ遭難するのなら、あんな性格の女と一緒になるのだけは御免こうむりたいというはた迷惑な性格のロビン。無骨なパイロット、クインとの相性は最悪。喧嘩ばかり。ああいう気の強さも魅力のひとつなのかもしれないが…といった具合に話は展開していく。

 何才になっても素敵なハリソン・フォード。格好悪い役のデイビッド・シュワイマーもそれはそれで決まっていた。

1998年/監督:アイヴァン・ライトマン「デーヴ」/クイン:ハリソン・フォード「レイダーズ 失われた聖櫃」/ロビン:アン・ヘッチ「ジョンQ 最後の決断」「サイコ」「ウワサの真相 ワグ・ザ・ドッグ」「ラストサマー」「リターン・トゥ・パラダイス」「奇跡の詩」/フランク:デイヴィッド・シュワイマー *「 」内はその人の作品のうち見たことがあるものの題名

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2005/01/13

『プライベート・ライアン』 "Saving Private Ryan"

-=-=-[あらすじと感想]-=-=-

 引きずるようにして連れて行こうとした傷ついた戦友。ふと気が付くと、手にしているのは引きちぎられて上半身だけとなった肉塊。水中まで追ってくる弾丸と赤く染まっていく海水を写す水中カメラ。最初のオマハビーチでの戦闘場面のリアリティには凍り付いてしまった。自分が画面のこちら側の安全な場所にいるのに、身が縮むような恐怖感とどうやっても助かるわけがないという虚無感から逃れられなかった。

 このビーチを突破し、上陸したジョン・ミラーキャプテンに新たな使命が課せられる。それは、この戦闘で2人の息子を、また別の戦闘で1人の息子を相次いで亡くした母親の元へ、最後に残った末息子で行方不明になっているジェームズ・ライアンを探し出して本国へ送り返すこと。ミラーキャプテンは、選りすぐりのメンバー8人。射撃の名手、ドイツ語とフランス語のわかるエリート、医療専門の隊員などと共に任務遂行するために最前線へと進む。

 英雄伝という描き方ではなく、「なぜたった1人のために8人の命を危うくしなくてはならないのか」「自分達にも母の元に帰る権利はある」といった疑問や、戦闘の恐怖に打ち勝てない心の弱さなどがしっかり描かれている。

 しかし、私の心には割り切れなさが残った。最初の戦闘場面では戦闘の理不尽さに圧倒され、嫌悪感を抱いて見ていた。その後、アメリカ兵8人の個性を描写するエピソードを見て、親近感を抱いた。そしてさらに、8人がドイツ兵を殺しながら目的遂行のための戦闘場面に至ると、今度は壮快感を持って見だしたのだ。しかし、この戦闘場面は最初の戦闘場面の裏返しに過ぎないのだ。こういう気持ちを抱く自分の、観客としての身勝手さを感じ、映画の恐ろしさを感じた。
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1998年
監督:スティーブン・スピルバーグ(「ジョーズ」「未知との遭遇」「E.T.」「インディ・ジョーンズ」「A.I」「マイノリティ・リポート」「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」「ターミナル」「ミュンヘン」)
キャプテン・ミラー/トム・ハンクス(「フォレスト・ガンプ」「グリーンマイル」「ユー・ガット・メール」「キャストアウェイ」「ロード・トゥ・パーディション」「チャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」「ターミナル」)
メリッシュ/アダム・ゴールドバーグ(「ビューティフル・マインド」)
アパム/ジェレミー・デイビス
ライアン/マット・デイモン(「ボーン・アイデンティティ」「オーシャンズ11」「小説家を見つけたら」「リプリー」「グッド・ウィル・ハンティング」)
*「 」内はその人の作品のうち見たことのあるものの題名

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2005/01/12

『デッド・マン・オン・キャンパス』"Dead Man on Campus"

-=-==[感想とあらすじ] ネタバレなし-=-=-
(日本未公開/日本版ビデオなし)

 この映画は[R指定]になっている。オープニングは自殺の方法を紹介する図から始まる。そして、麻薬に関しては本質的な批判なしで描かれている。まだ考え方が固まっていない年代の人達には「毒」だろう。当然の[R指定]だと思った。

 高校で抜群の成績を納め、奨学金を貰って大学に来た前途有望な医学生ジョッシュは寮の3人部屋入ることになる。ところが、ルームメートのクーパーは麻薬を吸い、偽の身分証明書をたくさん持ち、それを使ってお酒を購入し、遊んでばかり。勉強のことなど考えたくもないという落ちこぼれ学生。

 最初はまじめな学生だったジョッシュも、悪いルームメートの影響と、恋に目覚めたことから、勉強に身が入らなくなり、もう少しで奨学金を打ち切られるというところまで追い込まれる。一方、クーパーも、勉強しないのなら、もう学費は出さないと父親に言い渡される。

 窮地に陥った2人が小耳に挟んだのが「ルームメートが自殺した場合は、その精神的ショックを考慮し、残されたルームメートのその学期の成績はオールAになる」という学校の決まり。

 2人は、もうこの方法しかないと考え、自殺しそうな落ち込んだ雰囲気の学生を探してまわり、3人目のルームメートにしようとするのだが…。
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1998年
監督:アラン・コーヘン
ジョッシュ/トム・エヴェレット・スコット(「母の眠り」)
クーパー/マーク・ポール
レイチェル/ポピー・モンゴメリー
*「 」内はその人の作品のうち見たことのあるものの題名。

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『グッドマン・イン・アフリカ』 "A Good Man in Africa"

-=-=-[あらすじと感想] ネタバレなし-=-=-

 アフリカのキンジャンジャという国に赴任したイギリス人外交官。出世の望みもないため、植民地的生活を楽しんでいる。現地の恋人もなかなか魅力的で気が強い。この外交官、遊びが過ぎて病気になり、出かけて行ったところの医師がショーン・コネリー扮するアレックス・マレー。現地の人に慕われ、グッドマンと呼ばれているこの医師の病院には診療を待つ人の長い列ができている。

 その後、上司が赴任してきて、出世のチャンスが巡ってきて、ゴタゴタに巻き込まれていく。アフリカの大地と人々ののんびりとしたマイペースに包まれたドタバタの中で、どんな生活が幸せと言えるのかいろいろと考えさせられてしまう。

 原作も読んでみたくなる作品。
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1994年
監督:ブルース・ベレスフォード(「ドライビング・ミス・デイジー」)
外交官/コリン・フリールズ
医師/ショーン・コネリー(「小説家を見つけたら」「ザ・ロック」「エントラップメント」「理由」「薔薇の名前」)
*「 」内はその人の作品のうち見たことのあるものの題名

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2005/01/10

『ダンサー・イン・ザ・ダーク』 "Dancer In The Dark"

 ビョークというのは不思議な人だ。暗く、不思議な、まとわりつくような声。あまりの悲惨さに、なんという映画を見てしまったのだと後悔したのだが、見終わってから、いつまでもいつまでも味わい深いものが残る。この感覚はなんなのだろう。ミュージカルでここまで暗いものを描き出すことができるとは。

 ビョークが演じるセルマは辛すぎる現実にぶつかると、そこからミュージカルを生み出す。しかし、それは単なる現実逃避の楽しいミュージカルばかりではなく、悲惨な事実にしっかり直面する力ともなるものでもある。

 橋の上で汽車が通る場面と、工場の機械音が混じった場面、そして最後の場面、それぞれのミュージカルが心にきりきりと響くほど印象的。しかし、心も体も健全で健康な時にしか見られないほど救いようがなく悲惨な映画。

 *死刑制度が描かれている映画には他にこんなものがあります。
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追記:この後味の悪さはどこから来るものなのかとずっと考えていたところ、それをすべて解き明かして、すとんと納得させられる文章に出会った。同じような疑問をお持ちの方にはぜひ読んでいただきたいと思い、ご紹介します。
「=REVIEW=書評、映画評などなど。ダンサー・イン・ザ・ダーク
2005年2月2日
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2000年
監督:ラース・フォン・フォリアー(「ドッグヴィル)
セルマ/ビョーク
キャシー/カトリーヌ・ド・ヌーブ(「シェルブールの雨傘」)
ビル/デヴィッド・モース(「グリーンマイル」「交渉人」「ザ・ロック」)
ジェフ/ピーター・ストーメア(「マイノリティ・リポート」「ショコラ」「アルマゲドン」)
*「 」内はその人の作品で見たことのあるものの題名

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2005/01/09

『ディボース・ショウ』 Intolerable Cruelty

-=-=-[あらすじと感想] ネタバレなし-=-=-

なにこれ、どこまでが本当なの! B級映画? まじめ? ふまじめ? と思っているうちに、キャサリン・ゼタ・ジョーンズとジョージ・クルーニーの大人の魅力にはまっていく。

離婚と弁護士で困り果てているアメリカ社会ならではのおもしろさがあるのだろう。「弁護士は離婚しようとしている夫婦の利益ではなく、心の迷いに目を向けるべきだ」というマイルズことばはアメリカでは、苦く心に響くのではないだろうか。

マイルズの弁護士事務所のオーナー、汽車ぽっぽが好きな前の夫、スピッツを抱えた男爵、喘息持ちの殺し屋、そしてマイルズの涙もろい相棒など、脇役におもしろい人物がいっぱい。

何を信じて良いのかよくわからない展開なのに、最後は邦題の意味と共に、なんだかすべて腑に落ちてしまう。おもしろくて、変な映画だ。

蛇足だが、マリリンの衣装がとてもおもしろい。最初に着るクラシックな感じでレースのついた結婚衣装は、衣装担当によると「マリリンが自分の結婚式で着たいデザインとは違うもの」だそうだ。そして2度目に着るもののほうが自分が着たいものに近いが、本当に着たいものはもっと裾が長いものだとのこと。うなずいてしまった。裁判の時のピンクの衣装は清純で貞淑な妻というイメージを表そうとしている。衣装がそのときの主義主張を表しているなどと考えたこともなかったので、そういう目でもう一度見てみるとまたおもしろい。

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2004年
監督:ジョエル・コーエン
   イーサン・コーエン(「ビッグ・リボウスキ」「バッド・サンタ」)
マイルズ・マッシー/ジョージ・クルーニー
マリリン/キャサリン・ゼタ・ジョーンズ(「ターミナル」「シカゴ」「エントラップメント」)
ガス・ベッチ/ジェフリー・ラッシュ(「ミュンヘン」「恋におちたシェイクスピア」「エリザベス」)

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2005/01/08

『エントラップメント』 "Entrapment"

-=-=-[あらすじと感想] ネタバレなし-=-=-

 鍛え抜かれた身体で、思い切った盗みを働く女大泥棒ジンと、切れる頭脳と的確な判断が持ち味で、ロマンスグレーの魅力的な大泥棒マック。信頼しあっているのか、惹かれあっているのか、騙して利用しようとしているだけなのか。微妙な2人の駆け引きの緊張感の上に、奇想天外な盗みの手口が展開する。

 軽くて、すかっとしていて、ユーモアがあって、ロマンスがあって、はらはらどきどきがあって、洒落たストーリーが最後の最後まで楽しめる。

 キャサリン・ゼタ・ジョーンズの美しさが目一杯引き出されている。そして、70歳になってもロマンスのヒーローを演じるショーン・コネリーのなんともいえず素敵なこと。

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1999年
監督:ジョン・アミエル
マック/ショーン・コネリー(「小説家を見つけたら」「ザ・ロック」「グッドマン・イン・アフリカ」「理由」「薔薇の名前」)
ジン/キャサリン・ゼタ・ジョーンズ(「ターミナル」「シカゴ」「ディボース・ショウ」)
*「 」内はその人の作品で見たことのあるものの題名。

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2005/01/07

映画顔負けのワンシーン

 「ココロ温まるストーリーを募集」へのトラックバックです。

 映画顔負けのシーンに遭遇したことがある。

 場所はアメリカ、ニュージャージーの遊園地シックスフラッグス。日差しの強い夏休みのある日のこと。水をくぐったり、濁流を流れていくような絶叫系が多いので、女の子達はビキニにショートパンツ姿。それでも暑くて、飲み物片手に乗り場に並ぶという日だった。

 ところが、突然天候が変わった。遠くから黒い雲のような固まりが近づいてくるのが見える。館内放送のようなものはないまま、売り場の人達の動きがあわただしくなった。売り物にビニールシートを掛けていく。乗り物は運転を中止した。

 夕立が来るときのように暗くなったかと思ったら、ものすごい風が吹き付けてきた。ただの強風ではなくて、どこから飛んできたのか、土や泥や小石を含んでいて、顔にぶつかってきて痛く感じる。風を避ける場所もなく、建物に身を寄せたところ、今度はザーッと汚い雨が降ってきた。

 少しでも軒がある場所にみんな集まってきた。急激に温度が下がった。濡れた体は冷える。雨は30分ほど降り続いた。広場の周辺の軒下に人が集まり、真ん中の丸い広場には誰もいない空間が広がった。

 しばらくして、雨が小降りになった時、広場を、ビキニ姿にショートパンツで、羽織るものもない17~18歳くらいの女の子が5人ほど横切って来た。駐車場に向かっているのだろう。反対側からは同じくらいの年齢の男の子が5人ほどやってきて、すれ違った。2つのグループがすれ違ったあと、1人の男の子が立ち止まり、振り返った。そして、1人の女の子に声を掛けた。男の子は着ていたTシャツを脱ぐと、その子に着せた。上半身裸の男の子に、女の子はありがとうのキスをした。そして、2人と一瞬華やいだ2つのグループは手を振って反対のほうに去っていった。

 丸い広場の真ん中で、大勢の観客を前にしてのワンシーン。まるで映画のようだった。その夜、ニューヨークからニュージャージーにかけて竜巻が通り抜けていったことをテレビのニュースで知った。

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ちょっと別の観点から『ターミナル』

 普通の感想はこちらで→『ターミナル

-=-=-[人種差別とまでは言わないけれど…]-=-=-

 この映画、冒頭部分で入国審査窓口が映る。「観光ですか?お仕事ですか?」というのに答える例の場所。「仕事です」「観光です」と答えていく人々にまじって、中国人女性が「ショッピング!ショッピング!」と答える場面がある。また、怪しい団体が集団で窓口を突破しようとするが、それを見破ったフランク・ディクソンが「ディズニーランドに来る中国人でカメラを持っていない集団などいないから」と言う場面があった。

 最近は日本人より中国人のほうが景気が良いし、人数も多いので、やり玉にあがっているというだけで、ここは日本人であっても彼らにとっては同じこと。

 ハリウッド映画では何度も繰り返されてきているステレオタイプなとらえかただが、こういつもいつもだと笑えなくなってくる。

 ちょっと古いが、『ゴジラ』では、松田聖子がちょい役で出てきたと思ったら、ビルが崩れてくるパニックの中でタクシーの運転手に「私はショッピングに行きたいの!」と繰り返し叫んだ。「ショッピングだけが頭にある」に加えて、「まわりが見えない」日本人の典型だった。

 日本人にそういう傾向がないと全否定はしないが、おきまりの笑いを取って、どこがおもしろいのだろうと思ってしまう。

 この映画自体は好きなんだけれど…。

*『イエロー・フェイス--ハリウッド映画にみるアジア人の肖像』(村上由見子著、朝日選書)を読むと、この問題が歴史的観点から掘り起こして書いてあって、興味深い。

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2005/01/06

『ターミナル』 "Terminal"


 小国クラコージアからやっとの思いでニューヨークにやってきたのに、法律の狭間に落ち込んでしまってJFケネディ空港から出られなくなってしまったビクター。英語はほとんど通じないし、お金もない。故国は戦争状態。いったいどうすればいいのか。

 しかし、空港はソト以上にアメリカだった。「アポがない」からと話も聞いてくれない掃除人。滑った人に訴訟を起こされては困ると、少しでもぬれた床には「滑りますよ」の表示を置いておく社会。ややこしい手続きなのに、英語を話せるのが当然としゃべり続ける"権力側"の人間。

 一方で、規則の中を適当にかいくぐり、楽しく生きて、それぞれの「自己」を持ち続ける人たち。"権力側"の人間もまた、それぞれが違った目でものごとを見ている。秩序と自由とちゃらんぽらんさのバランスが、良きアメリカを支えているという楽天的なヒューマニズムが、閉ざされた空間の中で高らかに謳い上げられるストーリーだ。

2004年/監督:スティーブン・スピルバーグ「ジョーズ」「未知との遭遇」「E.T.」「インディ・ジョーンズ」「プライベート・ライアン」「A.I」「マイノリティ・リポート」「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」「ミュンヘン」/ビクター・ナボルフスキー:トム・ハンクス(「フォレスト・ガンプ」「プライベート・ライアン」「グリーンマイル」「ユー・ガット・メール」「キャストアウェイ」「ロード・トゥ・パーディション」「チャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」/アメリア:キャサリーン・ゼタ・ジョーンズ「エントラップメント」「シカゴ」「ディボース・ショウ」/フランク・ディクソン:スタンリー・トゥッチ(「ロード・トゥ・パーディション」 *「 」内はその人の作品のうち見たことがあるものの題名。

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2005/01/05

『ゴシカ』 "Gothika"

-=-=-[あらすじと感想] ネタバレなし-=-=-

 知的で冷静な医師ミランダ。女子刑務所の精神科病棟に勤務していたのだが、ある時、突然、そこに収容される身に。夫を殺し、錯乱状態になり監禁病棟に入れられたのだという。

 見ているだけでその混乱に感染しそうになる。悪霊の仕業のように思えてくるし、いや、そんな話ではないはずと思うし、ミランダのことを好きだったらしい同僚医師も実は悪いほうとぐるなのかもしれないと思えてくるし、看護婦の飲ませる薬も錯乱させる薬のような気がしてくる。すべてが怪しい。

 誰にも理解されず、監禁病棟に入れられる、その上、悪霊が出るらしいという状況。1人で鑑賞するのはちょっと怖い映画だ。

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2004年
監督:マシュー・カソビッツ(「ミュンヘン(出演)」
ミランダ/ハル・ベリー(「チョコレート」「ブルワース」)
同僚医師/ロバート・ダウニーJr.
クロエ/ペネロペ・クルス(「バニラ・スカイ」)
チャールズ・S・ダットン(「シークレット・ウィンドウ」「クッキー・フォーチュン」)
*「 」内はその人の作品で見たことのあるものの題名。

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2005/01/04

『トレーニング・デイ』 "Training Day"

-=-=-[あらすじと感想] ネタバレなし-=-=-

 ずっと希望していた麻薬捜査官に抜擢されたジェイク。初日は先輩刑事アロンゾによるトレーニング・デイだった。アロンゾは、麻薬捜査官になるには、どう猛な狼にならなくてはいけないと、ジェイクに麻薬を吸わせる。普通のモラルを破るところから教育を始めるアロンゾ。

 ここ数年「汚れ役の黒人」というのはタブーだったが、デンゼル・ワシントンはすばらしい迫力で過不足なく演じる。イーサン・ホークは、頼りなさの中にある純粋で正確な目を演じる。麻薬で朦朧としながらも、細かい観察をするジェイクの目の光の変化はすばらしい演技。2人の持ち味が細かなところで光っている。

 「悪をもって悪を制する」が正しいことなのか。純粋な正義感でそれを超えることができるのか。正義感ゆえに悪の道を進まなくてはならなかったアロンゾが哀しい。

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2001年
監督:アントニー・フュークワー
アロンゾ/デンゼル・ワシントン(「ジョンQ 最後の決断」「マルコムX」「遠い夜明け」「)*アカデミー賞主演男優賞受賞
ジェイク/イーサン・ホーク(「ヒマラヤスギに降る雪」「ガタカ」)

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2005/01/03

『バグジー』 "Bugsy"

-=-=-[感想] ネタバレなし-=-=-

 砂漠の中、電気もないラスベガスに夢の賭博場を実現しようとしたギャングの話。実話に基づいているために、現在のラスベガスの豪華さが重なって映画に描かれている以上に想像がふくらむ。

 血も涙もないギャングであっても、女と子どもにはだらしないほど優しく、損得勘定が苦手で、夢あるおしゃれな男という点でバグジーが魅力に満ちているのだろう。女は気が強くて、すばらしい美貌を持つ。ただし少しだけ愚かというのが魅力的らしい。

 今とは価値観がちょっと違う古き良き時代が懐かしい人にはたまらない映画だろう。

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1991年
監督:バリー・レヴィンソン(「ワグ・ザ・ドッグ ウワサの真相」「レインマン」)
バグジー/ウォーレン・ベイティ
ヴァージニア/アネット・ベニング(「2999年異性への旅」「アメリカン・ビューティー」)
ミッキー・コーヘン/ハーヴェイ・カイテル([「ルル・オン・ザ・ブリッジ」「ピアノ・レッスン」)
*「 」内はその人の作品で見たことのあるものの題名

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『2999年異性への旅』 "What Planet Are You From?"

 公開された年に、アメリカで見た映画。人気がなかったのか、映画館は私と友人2人だけの貸し切り状態。すぐに上映されなくなったマイナーな映画だったのに、日本語字幕版が出ていると知ってびっくりした。ばかばかしくて笑える。ちょっと暖かくて、それなりに好きになれる大人の映画だったので、日本でも見た人がいるかと思うとうれしい。

-=-=-[あらすじと感想] ネタバレなし-=-=-

 クローン再生で子孫を作ってきたある惑星。女性がいなくなってしまい、絶滅の危機におちいる。存続のために女性が必要となった彼らは、地球にミッションを送り込んで子作りに励み、その子孫を連れて帰って来ようという計画を実行に移す。

 地球の女が喜ぶ相づちの打ち方、気を引くための会話の仕方などを立体映像で勉強し、すべての技術を体得したひとりの"優秀な"男が選ばれ、地球に送り込まれることに...。

 セックスコメディというジャンルに属するこの映画、随所に散りばめられたそういう(!)場面に大笑いさせられるのだが、気が付くと、男と女の本質ってなんだろうと、ふと思う。

 "conflict"というキーワードが、男女の間に感情を生み出すという部分にさしかかると、映画に風刺されている内容が単純なお笑いだけでないことに気づかされ、ふっと我に返る。この"conflict"、ここでは単に「矛盾」というだけでなく、「理性で計りきれない混沌とした気持ち」に近い意味があると思う。

 『メリーに首ったけ』と同様、アメリカ映画はこの手のものを上品(?)に作るのがうまい。しかし、この邦題はすごい。こんな題名では、ビデオも借りられなくなってしまう。

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2000年
監督:マイク・ニコルズ(「卒業」「クローサー」)
スーザン/アネット・ベニング(「バグジー」「アメリカン・ビューティー」)
ハロルド/ギャリー・シャンドリング
ジョーンズ/ジョン・グッドマン
ベリー/グレッグ・キニア
*「 」内はその人の作品のうち見たことのあるものの題名

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2005/01/02

2004年、一番印象に残った映画。2005年は?

 2004年の劇場公開映画の中で一番印象に残ったのは『ドッグヴィル』。後味は悪かったけれど、映画を見ている自分についてはっとさせられ、考えさせられる映画だった。

 2005年はどんな映画に会えるのかな。今は覚え書きを、ただ書き綴っているだけだけれど、それをどういう形でココログにまとめることが可能か、ゆっくり考えていきたい。

 トラックバック野郎の今週のお題「ゆく2004年・くる2005年」に、〆切ぎりぎりで、今週も挑戦。

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『イングリッシュ・ペイシェント』 "English Patient"

-=-=-[感想] ネタバレなし-=-=-

 ひとりひとりの人物全部が好きだ。
 従軍看護婦のハナ。責任感と強いプロ意識を持つ強く美しい女性。戦場で親しい人の多くの死を見てきて傷ついている。
 爆弾処理の中でも一番危ない仕事を請け負う、責任感の強いシーク教徒の兵士カラヴァッジョ。
 浮き世を捨て、砂漠の歴史とロマンに生きる主人公アルマシー。
 そのアルマシーと不倫の恋に落ちるキャサリン。彼女は結婚式に両親から飛行機を贈られたというほど裕福な家に育つ。教養があり、自分の意志をはっきりと持っている女性。砂漠の真ん中でトラックが動かなくなった時、さっさと車を降りて、「私は残る」と言い切る。その姿は魅力的だ。

 ヒロインもヒーローも、全然正しくない。夫を裏切り、国を裏切る。間違ったことをしている。それも情熱的に。それなのに、"Why you hated me?" "I always loved you" という泣けるセリフはあの声と共に耳に焼き付く。

 アルマシーとキャサリンの過去のストーリーと共に同時進行する現在のハナとカラヴァッジョのストーリー。現在のほうのストーリーには戦争に傷ついた2人の回復への希望がある。砂漠の中の洞窟にあった、泳いでいる人々が描かれた壁画、砂漠の民、そんなものの魅力が全部一緒になって、2時間以上の長編が長いとも感じられず、一気に見てしまった。

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1996年
監督:アンソニー・ミンゲラ(「リプリー」「コールドマウンテン」)
アルマシー/レイフ・ファインズ(「ナイロビの蜂」「オスカーとルシンダ」)
キャサリン/クリスティン・スコット=トーマス
ハナ/ジュリエット・ビノシュ(「ショコラ」)
カラヴァッジョ/ウィレム・デフォー(「ぼくの神様」「ルル・オン・ザ・ブリッジ」)
ジェフリー(夫)/コリン・ファース(「真珠の耳飾りの少女」「ラブ・アクチュアリー」「ブリジット・ジョーンズの日記」「恋におちたシェイクスピア」)
*「 」内はその人の作品で見たことのあるものの題名。

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