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2004/12/15

『ウィンター・ゲスト』"The Winter Guest"

-=-=-[あらすじと感想] ネタバレなし-=-=-

 スコットランドの海辺を舞台にした、しっとり心に染み入る映画。

 海が凍ったある寒い冬の朝、老女が雪の中を黙々と歩いて、夫を亡くした娘を訪ねてくる。意志の強さがそのまま顔に出ている娘フランシスも、最愛の夫を亡くした辛さから、自分の支えとしていたカメラに手を触れることさえできないほど苦しんでいた。

 フランシスの息子アレックスは母を気に掛けつつ、学校へと向かうが、凍った海に続く雪の海岸で、一風変わった娘ニタと出会い、新たな心の触れ合いを見つける。同じ海辺のバス停でバスを待つ老女2人は、葬式に出ることを生き甲斐としているような毎日。海が凍ったその日、学校をさぼる少年2人のまだ幼さの残る「青春」。

 それぞれの登場人物が、違ったストーリーをもちながら、哀愁帯びたかもめの鳴く、寒いスコットランドの海辺の風景に包まれ、ひとつの交響詩のように調和する。たった1日の間に起きたできごとを描いているにすぎないのに、ひとつの力となって「生きること」を謳いあげる。

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1997年
監督:アラン・リックマン(「ハリー・ポッターと賢者の石(出演)」)
フランシス/エマ・トンプソン(「日の名残り」「ラブ・アクチュアリー」)
エルスペス/フィリダ・ロー
アレックス/ゲーリー・ハリウッド
ニタ/アーリーン・コックバーン
*「 」の中は、その人の作品で見たことのあるものの題名

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コメント

TBさせていただきました、子持ちの(←根にもってる)バウムクウヘンでございます。
(手違いで二回もTBしちゃいました。ごめんなさい。片方削除してください!)
私はあらすじを書くのが苦手なので、ちんとんさんのように、
スッキリと読みやすく作品の魅力を壊さずにまとめられたらどんなにいいか...と思います。
今後はどんな作品が出てくるのかなあ。楽しみです。

投稿: バウムクウヘン | 2004/12/16 20:14

コメントいただくのも、トラックバックいただくのもすべて初めてのことで、ドキドキというより、オタオタしています。

私も、バウムクウヘンさんのように画像を上手に使って作れたらと思うのですが…。きっと、なにげない素敵な雰囲気で撮れている写真も、そう見えるだけで、なにげなくない技術とセンスに裏打ちされているんでしょうね。

この『ウィンター・ゲスト』の主人公のカメラに対する気持は、私には抽象的にしか感じ取れていないのかもしれません。

投稿: ちんとん | 2004/12/17 09:51

ウィンターゲストは、「海に帰る日 (TURTLE DIARY)」とともに、私の最も愛する映画です。

うつで、ほとんど布団で過ごしていた時期、わたしの唯一の癒しでもありました。寝ていても、VHS で、流しっぱなしにしていました。

また色と光に、地味ですが、とても気を配った映像だと思います。
日本語字幕には、信じられないような「誤訳」とかもありますけど(笑

投稿: KOJI MUSTANG | 2015/02/18 23:28

KOJI MUSTANGさん、コメントありがとうございます。
この映画について書いたのはもう10年以上昔なのだと気づきました。感動はしっかり覚えています。3年前には、スコットランドの北側の海岸を一週間かけてドライブしました。夏の終わりだったのですが、強い風に吹かれ、カモメの声を聞き、岩にへばりつくように生えている低木やそこを歩く羊を見ました。冬の自然の厳しさを想像させる、力強い風景でした。

「海に帰る日」のDVD、手に入りにくいようでしたが、amazon.co.ukにはあるようでした。良い作品のようですし、シャーロット・ランプリングも出ているので、手に入れようと思います。良い映画を紹介してくださってありがとうございます。

投稿: ちんとん | 2015/02/19 16:39

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最近書く記事も、お邪魔させていただくブログも、 なぜか写真関係のものが多くなって [続きを読む]

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