『戦場のピアニスト』"The Pianist"
-=-=-[あらすじと感想] ネタバレなし-=-=-
主人公シュピルマンは、弱く、無力だ。体力だけでなく、窮地を切り抜ける機知もなければ、抵抗する才知もない。ヒーローとはほど遠い主人公はただ、助けられるだけ。誰のことも助けられない。持っているものは、純粋さと、それを表現するピアノに秘められた芸術性だけ。同胞の苦しみを目の当たりにしても、彼には何もできない。ぼろぼろになり、飢えていくだけ。
監督は、平和の中で高い文化と教養を持って生きてきたユダヤ民族を、シュピルマンに重ね合わせて表現したかったのではないだろうか。
ドイツ兵に占拠された廃墟の街に響くドイツ人作曲家ベートーベンのピアノ曲「月光」。破壊された国ポーランド人作曲家のショパンの「バラード」。よく知っているピアノ曲のはずなのに、新たな意味と思いが込められ、深く心に響いてくる。
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2002年
監督:ロマン・ポランスキー
シュピルマン/エイドリアン・ブロディ(「ヴィレッジ」)
*「 」の中は、その人の作品で見たことのあるものの題名。
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