« 『ウィンター・ゲスト』"The Winter Guest" | トップページ | 『スターリングラード』"Enemy at the Gate" »

2004/12/16

『戦場のピアニスト』"The Pianist"

-=-=-[あらすじと感想] ネタバレなし-=-=-

 主人公シュピルマンは、弱く、無力だ。体力だけでなく、窮地を切り抜ける機知もなければ、抵抗する才知もない。ヒーローとはほど遠い主人公はただ、助けられるだけ。誰のことも助けられない。持っているものは、純粋さと、それを表現するピアノに秘められた芸術性だけ。同胞の苦しみを目の当たりにしても、彼には何もできない。ぼろぼろになり、飢えていくだけ。

 監督は、平和の中で高い文化と教養を持って生きてきたユダヤ民族を、シュピルマンに重ね合わせて表現したかったのではないだろうか。

 ドイツ兵に占拠された廃墟の街に響くドイツ人作曲家ベートーベンのピアノ曲「月光」。破壊された国ポーランド人作曲家のショパンの「バラード」。よく知っているピアノ曲のはずなのに、新たな意味と思いが込められ、深く心に響いてくる。

---
2002年
監督:ロマン・ポランスキー
シュピルマン/エイドリアン・ブロディ(「ヴィレッジ」)
*「 」の中は、その人の作品で見たことのあるものの題名。

|

« 『ウィンター・ゲスト』"The Winter Guest" | トップページ | 『スターリングラード』"Enemy at the Gate" »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『戦場のピアニスト』"The Pianist":

» 『戦場のピアニスト』 生きる運命 [*モナミ*]
『戦場のピアニスト』ナチスのワルシャワ侵攻を目の当たりにし、収容所送りを奇跡的に逃れたシュピルマン(エイドリアン・ブロディ)は、ゲットーの廃墟に身を隠すことで、... [続きを読む]

受信: 2004/12/19 06:36

« 『ウィンター・ゲスト』"The Winter Guest" | トップページ | 『スターリングラード』"Enemy at the Gate" »