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2004/12/13

『チョコレート』"Monster's Ball"

 ハンクは父親の仕事を継いだ死刑執行官。人種差別的考えも父親からたたき込まれている。息子のソニーも同じ仕事に就いているが、その心優しさから父のように仕事をこなすことができない。ソニーは、父ハンクの叱責を受けた日に、「僕のこと憎んでいるか」と父に問いかけ、「憎んでいる」という答えを聞いた直後に、「僕はとうさんをずっと愛していた」という言葉を残し、銃口を自分に向け、死んでしまう。

 ハンクは苦悩する。冷厳な父親に愛されなかったハンクこそ息子と同様、愛に飢えていたに違いない。息子のことも、本当は愛したかったのだろう。それが父親の規範意識の呪縛に阻まれ、息子を愛することもできなければ、女性を愛して幸福になることもできなかったのだ。

 息子の死をきっかけに、ハンクは辞職する。そして、自分が死刑執行した死刑囚の妻だったレティシアと出会う。13年間、死刑囚の夫のもとに通い続け、疲れ切ったレティシアは、夫の死刑執行直後に息子までも交通事故で亡くす。絶望の渇きの中で愛情に飢える黒人女性、レティシアとの出会いで、ハンクは愛することを学ぶ。相手の渇きを感じ取り、共有し、共振していくことこそが愛することだと。

 題名となっている「チョコレート」は愛の欠如の象徴として描かれている。この邦題は原題とは異なるが、映画の中で主題を語る重要な小道具となっている。

 *死刑制度が描かれている映画には他にこんなものがあります。
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2000年
監督:マーク・フォスター
ハンク/ビリー・ボブ・ソーントン(「ラブ・アクチュアリー」「アルマゲドン」「バッド・サンタ」)
バック(父)/ピーター・ボイル
ソニー(息子)/ヒース・レジャー
マスグローヴ/ショーン・コムズ
レティシア(主演女優賞)/ハル・ベリー(「ゴシカ」「ブルワース」)
息子タイレル/コロンジ・カルフーン
*「 」内は、その人の作品のうち見たことのあるもの。

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コメント

>ちんとんさん
TBとコメントありがとうございます。

愛の欠如の連鎖を避けていく過程が
うまく描かれてましたね。
やはり差別意識の強い家庭では、子どもも
それに染まるし、愛し方もわからなくなって
しまうのかもしれませんね。

投稿: ユカリーヌ(月影の舞) | 2005/07/06 14:46

ユカリーヌさん

コメントありがとうございます。

本当に断ち切るのが難しい連鎖の呪縛が描かれていたと思います。ハンクの父親に至っては差別意識をたたき込む教育をしているわけですから。

またお邪魔させていただきます。今度はもっと"お行儀の良い"コメント書きに…。(^_-)*

投稿: ちんとん | 2005/07/06 18:01

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