『フル・モンティ』 "Full Monty"
底に流れる悲哀、ペーソスがなんともいえず、暖かい気分にさせられる映画。
イギリスの田舎町はいくら煉瓦がずれて、柱がゆがんで、屋根瓦がでこぼこになっても、それがいっそう良い風情となるのに、一旦工業化されてしまった街並みは古くなり出すと、途端に殺風景になっていく。そんな街、シェフィールドに住む男たち。その雰囲気が、風景と独特な英語のなまりから伝わってくる。
失業した男たちが考えたのは、ストリッパーになって金儲けすること。仲間を集めるためにオーディションを開く。応募して来た人たちもまた、失業者。そこまでは落ちぶれていないという心の底にあるプライドや自信のなさがそれぞれの"脱ぎっぷり"に表れる。しかしそういう男たちも…。
「男のストリッパー」という奇抜な題材を通して描かれているものは、失業した心の底にあるわだかまり、壊れてしまった家族愛、逆に修復されていく家族愛といった共感を持つことのできる、ごく普通の人間模様。
テーマ曲になってもいるあやしげな曲。それが、やさしい人間模様と結びつき、なんだか懐かしい響きさえ感じるようになってくる。CDを買ってしまった。
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1997年
監督:ピーター・カッタネオ
ガズ/ロバート・カーライル(「ザ・ビーチ」)
ジェラルド/トム・ウィルキンソン(「オスカーとルシンダ」「恋におちたシェークスピア」「ラッシュアワー」「エターナル・サンシャイン」)
デイブ/マーク・アディ
ジーン/レスリー・シャープ
ホース/ポール・バーバー
ロンパー/スティーブ・ヒューイソン
*「 」の中はその人の作品のうち見たことのあるものの題名。
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